日立製作所(日立)は10月27日、2021年度第2四半期(7月~9月)決算を発表した。同期の売上高は前年同期比14%増の2兆4,652億円で、営業利益は46%増の1,795億円だった。市況の回復や、ABB社のパワーグリッド事業の買収(2020年7月)、米GlobalLogic(グローバルロジック)の買収(2021年7月)などの影響により増収増益を達成した。
第1四半期を合わせた上半期(4月~9月)でみると、売上高は前年同期比29%増の4兆8,326億円で、営業利益は72%増の3,100億円となっている。純利益は29%増の3,224億円と過去最高を更新した。その中でも、営業利益が11.5%増の1,123億円と過去最高収益となったIT分野が後押しした。日立が注力しているIoT(モノのインターネット)基盤「Lumada(ルマーダ)」事業の堅調な推移が影響している。そのルマーダ事業の上半期の売上高は38%増の6,760億円だった。
また直近では、日立エナジー(旧日立ABBパワーグリッド)がサウジアラビア・エジプト間初の大規模HVDC(High Voltage Direct Current:高圧直流送電)システムを受注したことや、鉄道システム事業がスペインのILSA社と高速鉄道車両のメンテナンス契約を約980億円で締結したことなどが、増収増益に寄与している。
さらに日立が2021年7月に買収したグローバルロジックは堅調に成長しており、2021年第2四半期の売上高は前年同期比152%の344億円と、グローバルDX市場の成長を上回っている。
一方で、昨今の半導体不足の影響が自動車関連事業を中心に発生している。日立とホンダ傘下の車部品メーカー計4社が統合して発足した日立Astemoは、半導体不足の影響による自動車メーカーの減産、部材価格の高騰、ロックダウン影響による部品供給減少などの影響を受けたが、統合影響により連結全体の上半期の売上高を7,559億円押し上げた。
2022年3月期通期の見通しに関しては、連結売上高が11%増の9兆7,000億円と、2021年7月に公表した見通しからさらに1,940億円引き上げた。逆に営業利益は前回見通しから170億円引き下げた46%増の7,230億円に設定した。