ジャパンディスプレイ(JDI)は、10月27日~29日にかけて千葉県・幕張メッセにて開催されている「第12回 Japan IT Week 秋」にて、パートナーであるアスクならびにエフケイシステムと協力して、コロナ禍の課題を解決する2つの液晶技術の紹介を行っている。
タッチパネルに触れないで済む非接触ホバーセンサ
エフケイシステムブースでは、既設のタッチパネルを非接触方式に変更できる「非接触ホバーセンサ」の実機デモを披露している。静電容量方式のセンサで、デモで用いられているのはパネルサイズ15インチのモデル(JDIによると20インチクラスまでは対応できる見通しとしている)。USBによる給電方式を採用しており、既設の待合端末やキオスク端末などに後付けして利用することを想定している。
非接触でタッチ機能を実現できるホバリングの距離は基本は2cmとしているが、5cmほどまでは伸ばすことができるという。また、端末側を手掛けるエフケイシステム側の領域となるが、タッチパネル上のボタンを押した際に押したことがわかるような音を出したり、UIを変更したりといったことも対応も可能だという(機能的にはピンチイン/アウト、スワイプなども技術的な検証はできており、ファームウェアのアップデートにて後からそうした機能を追加することも可能だという)。
エフケイシステムによると、医療関連や食堂などの受付端末が従来のタッチパネルシステムの利用ユーザーに多いことから、そういった分野を中心に、不特定多数の人間が触れるようなタッチパネルが用いられるところでの導入を目指したいとしている。
サンプルの提供はすでに開始しており、価格としては12万8000円(税別)程度としているが、実際の製品としての提供は、JDIでは量産時期を2022年2月ころからとしているため、その後となる予定で、製品価格としては10万円を切る程度(ロットでの単価)にできれば、としている。
パネル越しの聞こえづらい声を文字情報でカバーする透明ディスプレイ
一方のアスクとは、アスクのパートナーであるスペースラボ(同時開催の第1回 XR総合展 秋に出展)のブースにて、透明ディスプレイ「Rælclear(レルクリア)」のデモ展示を行っている。
レルクリアは応援購入サービス「Makuake」で2021年11月24日までの期間で目標390万円の購入型クラウドファンディングを実施中だが、すでに10月27日時点で429万円に到達しているなど、注目を集める透明液晶ディスプレイ。透過率80%以上を達成しつつ、4096色の色数で表示が可能(180Hz駆動で、RGB各色を60Hzで表示)。入力インタフェースとしてHDMIを採用しており、PCの外付けディスプレイとして利用することができる。
デモとしては、アクリル板で区切って受付と客が会話をするといったものを想定。アクリル板が間に入ると、声が聴きづらいという課題があり、かつマスクをすると聴覚障害者の場合、口元を見て言葉を補間するといったことができなくなるといった課題があり、そうした問題の解決手法として、受付がマイクで話した言葉がディスプレイに文字となって表示される様子を見ることができるものとなっている。アスクの担当者によると、パーティション、音声認識ソフト、PC(今回のデモではCore-i7搭載モデルを使用)といった一連のソリューションをカスタム対応で提供することができる体制が整っているという。
ただし、レルクリアそのものはサンプルは提供可能な状況だが、実際の量産はやはり2022年上期を予定しているとのことで、実際の製品としての提供はそれ以降となるとしている。
なお、アスクとしてはユーザーのやりたいことを最適化して提供していくことを目指すとしており、さまざまな用途やニーズに応じて、最適なソリューションを構築して提供していきたいとしている。