明治と医薬基盤・健康・栄養研究所は10月25日、筋肉量の維持・向上のために効率的なたんぱく質の摂取量を明らかにした100本ほどの先行研究論文を用いてメタアナリシス研究を実施した結果、筋力トレーニングの有無に関わらず、たんぱく質は少量(平均的な体重の成人で1日5~7g)の摂取でも筋肉量増加に有効であること、また筋力トレーニングはその効果をさらに高めることを明らかにしたと発表した。
同成果は、明治の田川亮一氏、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 身体活動研究部の渡邉大輝氏らの共同研究チームによるもの。詳細は、10月1日~2日に開催された第68回日本栄養改善学会学術総会において、2本の論文としてWeb発表が行われた。また今回の研究成果がまとめられた論文(英語)は栄養学分野の学術誌「Nutrition Reviews」に、その日本語訳は女子栄養大学出版部が出版するNutrition Reviewsの日本語版「栄養学レビュー」に掲載された。
研究チームは今回、文献データベースおよび先行メタアナリシス研究から、たんぱく質摂取量と筋肉量の変化について調べた研究を網羅的な検索を実施。得られた1700文献から今回の研究目的に合致した105文献を厳選し、詳細なデータを抽出。得られたデータを用いて、筋力トレーニングの有無やたんぱく質の摂取量別にメタアナリシスを実施したという。そして、総たんぱく質摂取量(試験食品由来+食事由来のたんぱく質摂取量)が明らかなデータ(92文献、4741名分)について、総たんぱく質摂取量と筋肉量変化との量反応関係が解析されたところ、「幅広い摂取量範囲(0.5~3.5g/kg体重/日)にわたり用量反応関係が見られ、少量(0.1g/kg体重/日、平均的な体重の成人男女で5~7g/日程度)でもたんぱく質摂取量を増やすことが、筋肉量の増加につながる」こと、「特に1.3g/kg体重/日に達するまでの範囲で、たんぱく質摂取量の増加に対する筋肉量増加が大きい」こと、「1.3g/kg体重/日を超えたたんぱく質摂取の範囲では、習慣的に筋力トレーニングを実施する人で、効率的な筋肉量増加が期待される」ことなどが判明したという。
たんぱく質を摂取して筋力トレーニングを行うことで、筋肉を増やすことができることは知られていたが、タンパク質の量が少なくても効果があるのかどうかといったことはよくわかっていなかったというが、今回の研究成果から、少量のたんぱく質の摂取でも筋肉の増加につなげられることが示されたと、研究チームでは説明している。