NTTドコモ(以下ドコモ)、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、NTTコムウェア(以下コムウェア)は10月25日、NTT Comとコムウェアをドコモの子会社とし、新ドコモグループとして事業領域を拡大していくと発表した。
統合は2段階で行われる。来年の1月1日、NTT(NTT,Inc)より、同社が保有するNTT Comの株式のすべてをドコモに移管。また同日、日本電信電話(NTT持株)が保有するコムウェアの株式の一部(66.6%)をドコモに移管し(33.4%はNTT持株が保有)、子会社化する。
また、来年度の第2四半期をめどに3社の機能を統合。NTT Comのコンシューマ向け事業であるMVMOとISP事業をNTTレゾナントに移管したのち、NTTレゾナントをドコモの完全子会社にする。あわせて、NTTぷららをNTTドコモに統合し、コンテンツの強化を図る。
コンシューマビジネスはドコモに集約する一方、法人事業はすべてNTT Comに統合。ドコモの法人ビジネスをNTT Comに移管する一方、NTT Comのネットワーク事業をドコモに統合する。
コムウェアは、ソフトウェアの開発・運用に特化し、ドコモグループの情報システム基盤構築・開発支援・運用・保守・維持管理業務、ドコモのサービス開発支援業務を手掛けるドコモ・システムズをコムウェアに統合する。なお、STEP2以降は年内に詳細を決めるとした。
ドコモの井伊社長は、「3社が培ってきたテクノロジーをオープンにし、あらゆるお客様、パートナーのみなさんとともにイノベーションを起こし、社会に大きな変化をもたらすこと、『あなたと世界を変えていく』が新しいドコモグループの挑戦だ。モバイルからサービス、ソリューションまで事業領域を拡大し、それによって新しい世界を創出していく。そのためにNTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアをドコモの子会社とした。3社が経営方針を統一し、それぞれの機能を統合。事業の責任はしっかり明確化する。それにより、迅速な意思決定と機動的な事業運営を実現する。これによって、通信事業の構造改革と法人・スマートライフ事業を拡大する」と決意を述べた。
今回の3社の統合により、そのシナジー効果は2023年度に1000憶円、2025年度には2000憶円程度になるという。
NTT持株の澤田社長はその内訳を「現状お客様に提供していない付加価値を提供する増収する部分が半分、ITを合理化する、設備投資を抑制するなどのコスト面の効果が残り半分だ」と説明した。
新ドコモグループでは、現在の通信を主力にしてきたビジネスから、事業構造の転換を図り、2025年度には法人事業とスマートライフ事業で、現状の収益の45%程度から過半を占めるようにするという。
法人事業はモバイル・・クラウドファーストをスローガンに事業を進め、移動固定の融合サービス、IoT、5G、MaaS、スマートシティなどの先端ソリューションを提供することで、産業構造変革を実現するとし、新たなブランド「docomo business」を立ち上げる。
法人事業は中小企業向けのビジネスも強化する。
「中小企業、地元の企業の営業体制も強化していく。ドコモショップは全国に2300くらいあるが、これを端末・サービスの販売中心から地域のICT化をサポートするような新しい価値を提供するようにシフトしていく」(井伊社長)
NTT Comの丸岡社長は、「全国のドコモ・コミュニケーションズの法人営業機能を統合し、ワンストップで対応できる推進体制を構築。中小企業向けにモバイルベースのアプリケーションをはじめ、IT人材等の人材不足を補うDXサポートを提供する」と述べた
中小企業向けビジネスはNTT東西も手掛けているが、この棲み分けについてNTT持株の澤田社長は「場合によってはぶつかる可能性がないこともない。ぶつかるほど市場を開拓していってくれるとありがたい。開拓すべき市場は大きい」と、競合もやむを得ないとした。
コムウェアのアジャイル開発体制を2025年度5,000人規模に拡大し、スマートライフ、法人ビジネスのサービスのいち早い提供を実現するとしたほか、すべての事業でデータ活用を強化し、そのための人材を2025年度5,000人規模に拡大する。
コムウェアの黒岩社長は、ビジネスとITが密に連携したアジャイル開発をインハウスで進めることで、お客さまに対する新たな顧客体験を創出するとした。
「3社の従業員数は46000人くらいになるが、1割に相当する人材がサービス創出、データ活用に携わっていく、それによってイノベーションを加速する」(井伊社長)
法人事業はNTT Comを中核にサービスを充実することで、2025年度には、現状1.6兆円の売上を2兆円以上に拡大することを目標にするという。