Micron Technologyは10月20日(米国時間)、2030年に向けた半導体メモリの需要増加に対処するため、米国内のメモリファブ拡張の可能性を含め、最先端のメモリ製造および研究開発(R&D)に今後10年間で全体で1500億ドル(約17兆1200億円)以上の投資を行うと発表した。
半導体メモリ分野は現在、半導体市場の約30%を占めているが近年はさまざまなアプリケーションへの適用分野を拡大させており、さらなる成長が期待されている。そのためMicronも、そうした潮流に乗るために世界のメモリ生産拠点の拡充を進め、事業の拡大と数万人規模の雇用創出を図るとしている。
現在同社は13か国にまたがる製造およびR&Dネットワークを構築しており、40年以上の同社の歴史の中で4万7000を超す特許を持ち、毎年数十億ドルを研究開発に費やしてきた。
今回の1500億ドルの投資の内訳についてはまだ最終決定されていないため、明らかにされていないが、同社の社長兼最高経営責任者であるSanjay Mehrotra(サンジェイ・メロートラ)氏は、「DRAMとNANDの両方におけるMicronの業界をリードするメモリイノベーションを次の10年に拡大し、差別化された製品を顧客に提供するために、今回の1500億ドル以上の投資を決めた。米国ではCHIPS法(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors for America Act:米国半導体製造補助金支給法)による資金提供とFABS法(Facilitating American-Built Semiconductors (FABS) Act:米国製半導体促進法)による投資税額控除が米国での半導体業界に対する新たな投資への扉を開くが、今回の投資決定はそうした米国のみならず、世界中の政府と協力してメモリ製造への投資を行っていくことを意味している」と世界中でメモリ製造の拡大を図っていく意図を持っていることを語っている。
同社では、米国でメモリを製造するコストは、アジアを中心とするエコシステムが構築された他地域と比べ35〜45%ほど高いため、新たな法や税控除の活用によるサポートが得られれば、アイダホ州にある本社工場の拡張を図るとしているほか、米国以外の政府とも工場の新設・増設に関するインセンティブについての協議を進めているともしている。
なお、同社は日本にも広島工場(旧エルピーダメモリ)を有している。国内の一部メディアからは既存工場とは別に広島に8000億円規模の投資を行い、新たな量産ファブを建設するという話が出ているが、Micronは、そうした具体的な投資先については各国政府と協議中であり、最終決定には至っていないとしており、言及を避けている。