TAKAO AIは10月20日、画像データの文字情報を自動で点字に翻訳するソフトウエアである、点訳エンジン「:::doc(てんどっく)」の開発、実用化と、デモサイト上での無料体験サービスの提供を発表した。
同社は東京高等専門学校の学生メンバーによって2021年に創業されたAIスタートアップで、「:::doc」を基盤とした視覚障害者向けのサービス開発と実用化に取り組んでいる。
従来の点字翻訳では、点字技能を有する晴眼者(目の見える人)が1文字ずつ点字に置き換える作業が基本であり、長い時間をかけて行う必要があった。
同ソフトウエアを用いれば、入力された画像データを独自開発のAIモデルによって解析することで、文字を点字に翻訳する「点訳」を全自動で行える。点訳された情報は、点字を機械的に表示する端末である「点字ディスプレイ」に転送することで、点字として表示できる。
例えば、スマートフォンやパソコンのブラウザ上に撮影した写真を「:::doc」にアップロードすると、数秒後には点訳結果が画面に表示される。点訳結果を点字ディスプレイに転送することで、点字ディスプレイに空いた穴からピンが上下して点字の凹凸が表現されるので、ユーザーはそれらをもとに点訳結果を読み取る。
画像を介した自動点訳により、視覚障害者は他人を介すことなく、「学校からの手紙」「地域イベントのお知らせ」「周辺スーパーチラシの特売情報」など、日常生活で身近に受け取る印刷物の情報をタイムリーに取得できる。
また同社は、画像の認識精度の向上や処理時間の高速化のほか、読み取った文字・写真やレイアウト情報から要約文章を生成したり、一部の代表的な情報を重点的に点訳したりと、ディープラーニングなどの手法を用いることで視覚に訴える情報のコンテキストを反映した自動点訳を実現している。