ベルギーimecと、米国ジョンズ・ホプキンス大学のスピンオフ企業で、幅広い健康状態のスクリーニング、診断、モニタリングのためのポイント・オブ・ケアテストの開発を専門とする米miDiagnosticsは、超高速PCR技術を用いて新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のRNAを検出することを目的に、呼気中のエアロゾルや液滴を捕捉するimecの特許技術の非独占的なライセンス契約を締結したことを発表した。
これにより、miDiagnosticsは、新型コロナ向け呼気分析計の商品化を開始することとなり、より高精度でかつ高速に新型コロナ感染の有無を実現できるようになると両社では説明している。
11月にプロトタイプによるテストを開始
2020年にimecは、独自の半導体プロセス技術を応用する形で呼気中の新型コロナを判別する手法を発表していた。また、この技術と超高速PCR検査技術を統合した試験機器も開発。これまでに概念実証を行い、その商用化パートナーを探していたという。
miDiagnosticsのCEOであるKatleen Verleysen氏は「ワクチンによる予防接種を進める一方で、新しい変異株による感染拡大などを防ぐためには、信頼性が高く、迅速かつ簡便な検査方法の確立が必要であることに変わりはない。imecが開発した技術のライセンスを受けることで、現在の鼻腔スワブ検体採取によるPCR検査を呼気を用いたシリコンベースのPCR検査に置き換えることを目指している。このプロトタイプを用いたテストは、11月にブリュッセル国際空港で行う予定になっている」と、同技術の重要性と今後のロードマップを述べている。
なおimecでは、新型コロナ以降も新たなウイルスによるパンデミックのリスクがあることを踏まえ、開発した技術がほかの感染症の診断にもどの程度適用できるのかについての調査を進めているとしているほか、がんなどの疾病の診断への応用についても検討を進めているとしている。