アリババクラウドは10月19日、同社の年次イベント「Apsara Conference 2021」において、同社のデータセンターで利用する自社設計のプロセッサである「Yitian(イーテン)710」を発表した。同プロセッサは、同社グループのチップ開発事業であるT-Headがサーバでの利用のためにカスタマイズしているという。

  • 今回発表された「Yitian 710」

5ナノメートルプロセスで製造される同プロセッサは、最大クロック3.2ギガヘルツで動作する128個のArmコアの演算ユニットを搭載している。さらに、組み込まれているトランジスタは約600億個とのことだ。同プロセッサは、マイクロプロセッサの最新アーキテクチャ「Armv9」に対応した初のサーバープロセッサであり、8つのDDR5チャネルと96レーンのPCIe 5.0を搭載し、高いメモリおよびI/O帯域幅を実現するとしている。

あわせて、「Yitian 710」を搭載した独自のサーバ「Panjiu(パンジュー)」も発表された。「Panjiu」は、クラウドネイティブなインフラ向けに開発されたサーバで、コンピューティングとストレージを分離することで、汎用的および特殊なAIコンピューティングと高性能なストレージの両方に最適化されている。また、大規模なデータセンターへの導入を想定したモジュール型の設計手法を採用しており、コンテナ化されたアプリケーションや演算処理に最適化されたワークロードなど、クラウドネイティブなワークロードに対して優れた経済性を実現することに寄与するという。

さらに、同イベントでは、「XuanTie(スアン・ティエ)」IPコアシリーズのソースコードを公開することも発表されている。これによって、開発者はGitHubやOpen Chip Communityの開発者向けプラットフォームから同シリーズのIPコアのソースコードを確認できるようになり、IoTアプリケーション向けにカスタマイズされたプロトタイプチップを構築できるようになるとのこどだ。