情報通信研究機構(NICT)と情報処理推進機構(IPA)はこのほど、Webデータに基づく質問応答システムを用いて、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた活動をAIによって自動的に分析・評価する実験システム「WISDOM-DX」を開発したと発表した。
同システムでは、Webデータに基づく質問応答システム(WISDOM X)を用いてアンケート結果に相当するDX摘要(DX摘要は、DXに関する質問に対するWISDOM Xの出力結果をまとめたもの)を自動的に作成する。DX摘要を用いてDX活動を評価するスコア関数を定義し、学習データによってスコアを最適化することにより、DX評価の自動化を実現したという。
WISDOM Xは、60億のWebページから抽出された情報をもとに、深層学習によって、入力されるさまざまな形式の質問に対して内容を容易に把握できる端的な形で回答を提示する。さらに、回答件数とそれぞれの回答に関する信頼度を出力する。
WISDOM-DXをDX銘柄2021におけるアンケートに回答した企業464社に適用し、専門家が選定した優良企業48社を正解として実験を行ったところ、AUPR(Area Under the Precision-Recall Curve:検索性能に関する評価指標)が0.543となり、システムがランキングした上位48件の正解率は56.3%となったという。
また、不正解とされた残りの上位企業についても一定水準以上のDX活動を行っている、システムのランキングがDX状況を把握する上で有効であることを確認したとのことだ。