ガートナージャパンは10月19日、デジタル・テクノロジを活用したビジネス変革において「トータル・エクスペリエンスとコンポーサブル・ビジネスが不可欠」との見解を発表した。
Gartnerが2020年7~12月、世界のCEOおよび上級ビジネス幹部を対象に実施した2021年CEOサーベイでは、ビジネス上の最優先課題として、「成長」(56%)と「テクノロジ関連の変更」(36%)が上位に挙がった。同社のアナリストでシニアディレクターの川辺謙介氏は、「CIOにとって今はITによってどのようにビジネスを変革できるのかを根本から見直し、実行に移す重要な時期」だと述べている。
また、本年8月に実施した、日本国内企業に勤める従業員および経営者に対しての調査において、自社と他社の競合環境について尋ねたところ、過半数の53.0%が「5年前と比べて厳しくなっている」と回答した一方、「優位になっている」という回答はわずか11.0%であった。
ビジネスをさらに発展させるために重視すべきことについての質問には、「従業員の士気や満足度を高める」(41.8%)、「顧客満足度を高める」(33.5%)、「非効率な業務を廃止または改善する」(31.5%)が上位に挙がり、回答者の多くが「従業員および顧客への対処と非効率な業務を改善すべき」だと考えていることが明らかになったという。
川辺氏は、労働者当たりの生産性を向上させるためには、課題となっている従業員、顧客、および非効率な業務を見直すことが重要であるとし、今後はこれを活用した形で「エクスペリエンス」のような目に見えにくいものを付加価値として捉え、変化に柔軟に対応できる「コンポーザブル」(構成や組み立てができること)な形式でそれを実装・提供していく方向性になると考えられると述べている。
また同氏は、エクスペリエンスの一貫性を保つには、そのすべてをトータルで管理する「トータル・エクスペリエンス(TX)」が不可欠で、生み出される付加価値は、ターゲットとなる顧客や関係者に適切なタイミングで効果的に提供されることが重要であり、そのためにはアジリティを重視し、リアルタイムにスケールできるような考え方、アーキテクチャ、テクノロジを備えた「コンポーザブル・ビジネス」を推進する必要があるとしている。