IDC Japanは10月18日、国内プライベートクラウド市場予測を発表した。これによると、2021年の同市場規模は2020年と比べて35.8%増の1兆2216億円になり、2020年から2025年にかけて年間平均成長率(CAGR) 25.3%で成長を続け、2025年の市場規模は2020年の3.1倍にあたる2兆7815億円になることが分かった。

  • 国内プライベートクラウド市場の支出額予測 資料:IDC Japan

2020年の同市場は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響により、仮想デスクトップ(VDI)関連が大きく拡大した。一方、基幹系システムの移行プロジェクトには遅延が見られ、同市場の成長を抑制したという。

2021年は、遅延となったシステム刷新・更新や新規プロジェクトの再開により再び高い成長になると、同社は予測している。

機微情報(センシティブデータ)の取り扱い、ネットワーク遅延、他システムとの連携性、仕様の柔軟性などを評価してプライベートクラウドを選択する企業も多くあり、またパブリッククラウドとプライベートクラウドを同時に導入・利用する企業が増加している。

パブリッククラウド(特にIaaS/PaaS)では、利用中のサービスに関わる支出の削減や高度活用を積極的に支援するベンダーが多く見られる一方で、プライベートクラウドでは、安定運用を重要視しているもののシステム導入後のコスト最適化を積極的に支援しているベンダーは多くないとのこと。

プライベートクラウドであっても、パブリッククラウドと同様にユーザー企業のクラウド活用度の向上を積極的に支援することが、ベンダーに求められると同社は指摘している。

同社ITサービスのリサーチディレクターである松本聡氏は、「DX(デジタルトランスフォーメーション)時代を迎え、ベンダーはカスタマーサクセスを重要視した、顧客のクラウド活用度の向上を積極的に支援する必要がある」と述べている。