TSMCは10月14日、2021年第3四半期の決算説明会を開催し、その中で「日本でのスペシャルティ・テクノロジー・ファブの建設を2022年に着工し、2024年から22nm-28nmの成熟プロセスでの受託製造を始める」と発表した。

日本政府と顧客からの強い支持

TSMCのC.C. Wei(魏哲家)最高経営責任者(CEO)は、「日本の顧客と日本政府の双方から、今回の計画に対する強い支持を受ける約束を得ている」と述べた。Wei氏は、TSMCが生産拠点をグローバルに拡大しようとしている点に関しては「多くの人材と接触できるほか、顧客のニーズをより一層満たすことができる」のが理由であると述べている。

また、「海外工場を建設する際に現地政府と合弁企業を設立することを検討しているか」との質問には「通常、海外工場は、中国の場合も米国の場合も私たちが100%所有し、現地政府と合弁会社を設立するということはない。ただし、重要な顧客や他企業との設立についてはケース・バイ・ケースで検討する」と答えた。日本での工場建設に関しては、まだ取締役会で承認を取り付けていないとの理由で、これ以上の説明は避けている。

そのため、日本で伝えられているような日本企業(ソニー、デンソーなど)による出資・投資および日本政府による4000億円とも8000億円とも言われている補助金、建設用地や採用人員数、プロセス的にイメージセンサや車載半導体と見られる生産品目などといった詳細については、一切明らかにしなかった。公式情報として明らかにされたのは22-28nmプロセスを用いたスペシャルティテクノロジファブであるということとその着工および生産開始予定の時期だけである。

このほかの詳細については、次回の取締役会直後に、つくばの3D IC研究開発センター開設発表の際と同様に取締役会の議決事項に関する議事録として発表されると思われる。

なお、14日夜、日本の岸田文雄首相が、TSMCが日本に工場建設を決めたことについて「日本の経済安全保障上に寄与することが期待される。TSMCの1兆円規模の大型民間投資などへの支援を経済対策に盛り込む」と述べたことを台湾メディアが報じているが、TSMCの日本進出に関して日本で報道されている以上の詳しい情報は伝えられていない。