沖電気工業(以下、OKI)、矢口港湾建設、増毛漁業協同組合は13日、北海道増毛郡増毛町の実海域での「密漁監視ソリューション」による密漁被害防止の成果を発表した。

  • OKIの密漁監視ソリューション(同社資料より)

    OKIの密漁監視ソリューション(同社資料より)

「密漁監視ソリューション」は、OKIの水中音響センシング技術が活用されている。自ら音を発信せず海中音を受信する水中音響センサーを通して海域の音を収集、これをクラウドサーバーへ送信。クラウドにより音を分析し、船のエンジン音やスクリュー音、ダイバーの呼吸音などの異常音を検知した場合、関係者へ通知を行える。2018年より試験導入、2020年より本格運用を開始しているが今年の7月には、検知情報により不審者と不審船を発見するなど海域での未然防止の成果を挙げている。

2021年8月の実運用デモの様子(同社資料より)

2021年8月の実運用デモの様子(同社資料より)

近年、アワビやナマコなどの高級食材を狙った密漁が増加傾向にあり、夜間無灯火船での航行、潜水器を用いたダイバーによる密漁行為など手口も巧妙化。監視カメラや人手によるパトロールなど現地関係者の人件費や設備コストなどの負担が問題となっていた。OKIでは、これらの事情を鑑み総務省「平成30年度IoTサービス創出支援事業」を矢口港湾建設、北海道増毛郡増毛町とともに受託、「密漁監視ソリューション」の開発を行っている。同社は、今回の密漁阻止の成功により、厳しい海洋環境下におけるシステムの耐久性と太陽光発電システムを含めた長期安定的な運用の確認ができたことをコメント、今後も蓄積された運用データとノウハウを活かしソリューションの機能向上を目指していくという。