HubSpot Japanは10月13日、米国での自社イベント「INBOUND 2021」の開催とともに、エンタープライズ向けの新機能と既存機能の強化を発表した。
今回発表された新機能は「統合されたCRMプラットフォーム」「高度にカスタマイズ可能なCRMプラットフォーム」「顧客起点のCRMプラットフォーム」の3つのコンセプトのもと開発された。
具体的には、オペレーション支援ソフトウエア「Operations Hub」の最上位プランが用意され、マーケティングソフトウエア「Marketing Hub」やカスタマーサービスソフトウエア「Service Hub」にて新機能の追加や機能強化が施された。
統合されたCRMプラットフォーム
Operations Hub Enterpriseプランの新設
11月1日よりOperations Hubで、無料版、Starterプラン、Professionalプランに加えて、「Enterpriseプラン」が提供される。
同プランでは新しく「データセット」と呼ぶビジネスインテリジェンス(BI)機能を提供する。同機能を使用することで、企業のオペレーション部門やデータ分析担当者は必要に応じて、プロパティー同士の計算を設定しながらCRM上のデータを整理し、各部門がレポート作成に使用するデータの集合を定義することができる。これにより、企業は部門横断で情報の一貫性を向上させることができる。
カスタム行動イベントのAPI
カスタム行動イベントのAPIを活用することで、Marketing HubのEnterpriseプランユーザーはデータソースにかかわらず、重要な行動データをトラッキングしレポートを作成できる。
高度にカスタマイズ可能なCRMプラットフォーム
関連付け機能の強化
HubSpotポータル内のさまざまなデータ同士の関係性を柔軟に定義し、関連付けることができるようになった。これにより、ビジネスの実態に沿った形で各種の情報をCRMに記録できる。
例えば、A社とB社の2社がポータルに登録されているとする。自社にとってA社は顧客で、B社はA社が雇用している代理店であり、普段は代理店のB社のみに連絡を取る、といったように特定のコンタクトや取引に複数の会社を関連付けることも可能だ。
なお、現在はパブリックベータ版での提供となる。
ビジネスユニット
ビジネスユニット機能によって、Marketing HubのEnterpriseプランユーザーは、1つのHubSpotポータル上で複数の自社ブランドを管理できるようになった。
多様なオーディエンスに向けたクロスセル/アップセルキャンペーンの実施や、ブランド単位でのコミュニケーショントラッキングに加えて、事業部門を横断した業績や特定ブランドの業績の分析が可能だ。
柔軟なユーザー権限管理
従来からソフトウエアやプランにかかわらずHubSpotポータル内で権限設定は利用できたが、今回の機能強化で権限セット、代行機能、監査ログ、署名管理などのガバナンス機能が追加された。
「Professional」プラン以上では、ユーザー権限のテンプレートを活用できるようになった。テンプレートには「マーケター向け」など、職種に基づいた基本権限セットがデフォルトで用意されている。各ソフトウエアのEnterpriseプランでは、カスタマイズしたテンプレートを作成し使用できる。
サンドボックス環境の提供
HubSpot CRMプラットフォーム上のすべてのソフトウエアにおいて、Enterpriseプランユーザーはサンドボックス環境を利用できるようになった。
アカウント管理者や開発者は、顧客や社内に影響をおよぼす変更を行う前にサンドボックス環境でテストを実施できる。別途テスト用のアカウントを構築し、設定や定義ファイルをコピーする必要がなくなるため時間の節約につながる。
顧客起点のCRMプラットフォーム
カスタマーポータル
Service HubのProfessionalまたはEnterpriseプランのユーザーは、顧客に対して、問い合わせチケット対応状況の確認や、カスタマーサポート部門からの連絡への返信機能を備えた個別ポータルサイトを提供できるようになった。
ポータルサイトの利用者は、自分の問い合わせやリクエストに対する最新の対応状況を確認できる。
カスタムアンケート
Service HubのProfessionalまたはEnterpriseプランのユーザーは、多様な質問タイプを自由に組み合わせて、顧客や見込み客向けのアンケートを作成できるようになった。
収集可能な回答件数の上限はない。なお、現在はパブリックベータ版での提供となる。
米国で決済機能「HubSpot Payments」のベータ版をリリース
このほか、同社は米国内限定で、決済機能「HubSpot Payments」のベータ版の提供を発表した。なお、現時点で日本を含む米国以外の地域における同機能の提供予定は未定。
同機能を用いてペイメントリンクを活用したオンライン販売の導入や、HubSpotの見積書作成ツールからの入金対応など、多様な形態で単発の入金や定期的な請求をスムーズに回収できる。決済プロセスがCRMに統合されることで、 ユーザー企業は顧客に対して摩擦のない購買体験を提供しながら収益の拡大をねらえるという。