IDC Japanは10月12日、企業の情報システムを情報サービス事業者のデータセンター内で運用監視する、「国内データセンターサービス」市場の最新予測を発表した。
同日に開催された記者発表会では、同社ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏によって、国内の市場構造やプレイヤーについて解説され、事業者別の動向やハイパースケールデータセンターなどの予測が紹介された。
2021年の国内データセンターサービス市場は、前年比11.6%増の1兆7341億円となる見込みだ。また、2020年から2025年の年間平均成長率(CAGR)は12.5%と高い成長率が維持されると同社は見ており、2025年の市場規模は2兆7987億円と予測する。
昨年の予測では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、2020年の市場成長率は下降する予想だったものの、今回の調査ではマイナス影響はほとんどなかったことがわかった。
パンデミック初期には顧客による投資の先送りなどが部分的に発生したが、ITインフラのリモート運用やインターネット上のサービスの利用拡大に後押しされて、2021年もデータセンター利用は拡大を続けている。
DC(データセンター)サービス市場には、SI事業者/ITベンダー、通信事業者、DC専業事業者がエンドユーザーにコロケーションやホスティングとして提供している非クラウド系サービスのほか、クラウドサービスプロバイダーによるクラウド系サービス(IaaSコロケーションやクラウドデリバリーホスティング)が含まれる。
伊藤氏は、「市場をクラウド系、非クラウド系に分類したとき、DCサービス市場の成長率はクラウド系がけん引しており、非クラウド系はほぼ横ばいといった状況だ。2021年はクラウド系が非クラウド系の規模を追い抜いた年となる」と説明した。
インストールベースでのDCの延べ床面積は、2020年の246万平方メートルから2025年には340万平方メートルに拡大する予想だ。この間のCAGRは6.7%の予想となる。
他方で、クラウドサービスプロバイダーが利用するハイパースケールDCの成長も続くという。DCスペース面積5000平方メートル・電力密度が6キロVA以上のハイパースケールDCについて、同社は延べ床面積のCAGRは28.8%、電力キャパシティのCAGRは37.2%の予測を立てている。
「2024年にはDC事業者の半分以上は、ハイパースケールDCになる試算だ。2020年に20億kwhだったハイパースケールDCの電力消費量は、2024年には54.6億kWhとなる予測だ」と伊藤氏。
国内DCサービス市場は、今後クラウドサービスの市場拡大を軸にして高い成長が続くものと同社は考える。特にホールセールコロケーション(クラウドサービスプロバイダーに大規模DC設備を貸し出すタイプのサービス)分野に新規参入する事業者が出てきており、同分野での高成長が続くという。