米製薬大手メルクと米ベンチャー企業リッジバック・バイオセラピューティクスは米東部時間11日午前(日本時間同日午後)、臨床試験(治験)中の新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」の緊急使用許可を米食品医薬品局(FDA)に申請したと発表した。厚生労働省によると、米国では年内に緊急使用の許可が出る可能性が高く、日本国内の審査を経て、国内でも米国同様年内にも承認される可能性があるという。

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    メルクなどが緊急使用許可をFDAに申請した新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」(メルク社提供)

この薬はメルクとリッジバックが共同で開発。投与対象は重症化リスクがある軽症から中等症の成人患者で、人体へのウイルス侵入や増殖を防ぐ効果が期待される抗ウイルス薬。同社によると、承認されれば新型コロナの飲み薬(経口薬)としては世界で初。自宅での服用が可能で、医療機関の負担が軽くなることなどからコロナ対策の決め手と期待されている。

メルクなどは今月1日、日本を含め、欧米を中心に20カ国以上の170施設以上で実施した治験の中間解析結果を公表し、偽薬を投与したグループと比べて、モルヌピラビルは患者の入院や死亡リスクを半減させる効果があったとしている。

同社によると、中間解析の対象になった治験の参加者は発症5日以内の入院前の成人患者で、症状は軽症から中等症程度だった。8月までに得られた775人分のデータによると、服用から29日目時点で入院したり死亡したりした人の割合は、偽薬を服用したグループは14.1%だったのに対し、モルヌピラビル服用グループは7.3%。入院や死亡のリスクが半減したとしている。

飲み薬はワクチン接種とともに、今後のコロナ対策の要とされる。比較的安価で扱いやすいため、発展途上国での普及も期待されている。メルクのほか、米製薬大手のファイザー社やスイスのロシュ社、日本の塩野義製薬も開発を進めている。

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