日立製作所(日立)は10月7日、AI(人工知能)を活用し、Twitterなどのテキストデータから企業や商品に対する反響を「感情」の観点で分析・可視化する「感性分析サービス」に、新たに「道徳」と「意外性」の観点で分析する「モラル分析」、「意外性分析」の2つの機能を加えて強化し、IoT基盤「Lumada(ルマーダ)」ソリューションとして提供を開始すると発表した。

  • 今回強化した感性分析サービスの概要図

同サービスは、新たな商品企画や販売戦略、リスクの事前発見・炎上対策などのマーケティング施策などで活用できる。エンドユーザーの感情およびその感情に至った潜在的な価値観を分析することで、抱いた感情とその背景にある「内集団(集団を作り、維持しようとする道徳観)」などを重んじるという道徳的な価値観が分かるため、エンドユーザーの購買意欲を刺激するマーケティング施策を打ち出すことが可能だとしている。

エンドユーザーの反応をより多角的かつ定量的に分析することで、エンドユーザーの価値観や隠れたニーズに気づくことができるほか、そうして得た新たな気づきや着想をビジネスに生かすことで、さらなるビジネス拡大や企業価値向上が期待される。

「モラル分析」機能は、 AIでテキストから特徴語を抽出し、5つの道徳基盤「擁護」「公正」「内集団」「権威」「純潔」のどれに当てはまるか、各道徳基盤に遵守・違反しているかを定量的に分析・可視化する。

  • 5つの道徳基盤

また「意外性分析」機能は、時系列の情報と出現頻度を組み合わせた日立独自のアルゴリズムを活用し、一定の件数があるものの「感情分析」機能や「モラル分析」機能では件数が少なく表示されなかった少数派の反響とその時間帯を抽出・可視化する。これにより、ある期間に突然出現する意外な単語や、単語の組み合わせが分かるため、新たな気づきを得ることができるとしている。

日立は今後、マーケティングだけでなく人事、採用、人財育成といったHR(ヒューマンリソース)領域までユースケースを拡大し、企業活動の価値創造を支援するサービスとして幅広く展開していく方針だ。