ルネサス エレクトロニクスは10月6日、次世代車載中央コンピュータ向けに、新たに開発した第4世代R-Carシリーズのゲートウェイ用SoC「R-Car S4」とパワーマネジメントIC(PMIC)を組み合わせた車載ゲートウェイソリューションを発表した。
R-Car S4は、Arm Cortex-A55(1.2GHz×8)とCortex-R52(1.0GHz、ロックステップ)を搭載したほか、車載制御をサポートするためにR-Carとして初めてRH850マイコンのCPUコア(G4MHコア、400MHz、ロックステップ)も内蔵。そのほか、CAN FD×16、LIN×16、SENT×8、FlexRay×1、PCIe V4.0×4、2.5 Gbpsの高帯域イーサネットTSNスイッチ×3などといった通信インタフェースを搭載することで、車内外のさまざまな機器との接続を可能とした。
また、RH850コアも搭載したことで、前世代の第3世代R-CarならびにRH850向けに開発されたソフトウェアを最大88%再利用することを可能としたとするほか、同社としても各種ドライバやLinux BSP(Board Support Package)、ハイパーバイザなどの基本ソフトウェアを含むソフトウェアパッケージも提供することで、リアルタイムコアを含むR-Car S4用ソフト開発をサポートするとしている。さらに、パートナ企業が提供する仮想プラットフォーム(VPF)を利用することで、早期のソフトウェア開発と評価を可能とし、設計期間の短縮とコスト削減も可能としたとしている。
一方の新たなPMICは低消費電力動作に対応したもので、例えばプリレギュレータのPMIC「RAA271041」は、車両バッテリの12V電源入力に対応し、ロードダンプやコールドクランキングパルスといった入力電圧変動時も出力を保持することが可能だという。また、「RAA271005」は、RAA271041の出力を受けて、R-Car S4と、LPDDR4xメモリなどの周辺機器が必要とする電源電圧に降圧し、最大で11チャネルを出力することが可能となっており、同社ではこれらのPMICにより、車両のバッテリからR-Carまで、信頼性の高いパワーソリューションを実現することが可能となったとしている。
なお、すでにR-Car S4、対応PMICともにサンプル出荷を開始しているとするほか、同ソリューションの評価ボードの提供も開始したという。同評価ボードは、R-Car S4とPMICのほか、ルネサスのタイミングIC「Autoclock RC2121x」が搭載された同社のウィニングコンビネーションの1つに位置づけられている。