スウェーデンのカロリンスカ研究所は4日、2021年のノーベル医学生理学賞を、温度や痛みなどさまざまな触感を得る仕組みを解明した米カリフォルニア大学サンフラシスコ校教授のデビッド・ジュリアス氏と米スクリプス研究所のアーデム・パタポウティアン氏に授与すると発表した。授賞理由は「温度と触覚の受容体の発見」。

日本人の受賞はなかった。賞金の1000万スウェーデン・クローナ(約1億2700万円)が2氏に贈られる。授賞式は毎年スウェーデンで12月10日に行うが、今年も昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染症対策のため、受賞者は出席せずに居住国で表彰を受ける予定。

カロリンスカ研究所によると、ジュリアス氏は唐辛子の刺激性化合物であるカプサイシンという物質を利用して熱や痛みなどの感覚を生じさせる皮膚細胞のセンサーを発見した。パタポウティアン氏は圧力を感じる細胞を通じて皮膚や内臓がさまざまな刺激に反応するセンサーを発見した。

2氏の発見により、人間の神経系が熱や冷気などの温度のほか、痛みなどのさまざまな刺激をどのように感知するかが明らかになった。そして環境の中に生きる人間が環境と感覚の相互作用を理解する上で大きな知見を与えたという。

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    ノーベル医学生理学賞の受賞を決めたデビッド・ジュリアス氏(左)、アーデム・パタポウティアン氏のイラスト(ニクラス・エルメヘード氏、ノーベル財団提供)

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