韓国のIDM兼業ファウンドリであるDB HiTekがSiCやGaNなどの第3世代半導体を用いて車載半導体事業参入に向けたプロセス開発を行っていることが、9月28日に開催された韓国政府主催の「半導体連帯・協力協議体」発足式およびそれに引き続く会議の席で明らかにされたと韓国の毎日経済新聞が会議参加者から得た情報として報じている。
それによると、参加したDB HiTekのChoi Chang-sik副会長(前社長兼CEO)が、会議の席上、車載向け半導体とスマートセンサ市場への参入・拡大に向け、業界間の連携・協力に加え、政府や業界サポートが必要であるとして、開発段階から安定した量産基盤まで構築することができるように需要・供給における国策事業を拡大の上、サプライチェーンの構築を国が支援してほしいと通商産業資源部長らに要望したという。
DB HiTekが、SiCとGaN半導体製造のためのプロセス技術を開発しているとの噂は以前からあったが、同社のトップが具体的に言及したのはこれが初めてである。
韓国政府は、5月に発表した「K-半導体戦略」で、PIM(Processing-in-Memory)AIチップ、データ収集センサチップに加えて、非シリコンパワーデバイスを開発支援の重点項目にあげており、今回のDB HiTekの車載パワー半導体参入検討は韓国政府の意向に沿ったものとみられる。
韓国の半導体関係者によると、同国の車載半導体はほとんど輸入に頼っており、国内には車載向け半導体生産のためのサプライチェーンが形成されておらず、事業初期に迅速な技術開発と需要・供給先間の協力関係の構築、生産設備の増設へ政府支援が必要だという。車載向け半導体は、IT向け製品に比べ高いレベルでの製品安定性と信頼性が要求され、需要者と供給者との間のすり合わせ型の長期的な協力が伴わなければならないため、そのプラットフォームを政府主導で構築することを要請したものと受け取られている。
なお、韓国政府は、DB HiTekが希望する車載向け半導体の人材育成を援助するとともに、ライン増設許認可などの規制の問題も積極的に支援する予定だとしている。