NEC、OCC、住友電気工業は10月4日、非結合型マルチコアファイバを収容した海底ケーブルを開発したと発表した。同ケーブルは、総務省の「ICT重点技術の研究開発プロジェクト」における研究開発課題「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」の技術課題「マルチコア大容量光伝送システム技術」(JPMI00316)の取り組みの一部として開発したもの。

今回開発したマルチコアファイバケーブルは、従来のシングルコアファイバケーブルと比較して4倍のコアを有する非結合型4コアファイバが適用されており、ファイバサイズを維持したまま伝送容量を大幅に拡大することが可能。また、非結合型4コアファイバを32心収容でき、最大で128コアによる伝送が可能。

  • シングルコアファイバケーブルとマルチコアシングルコアファイバケーブルの違い

今回開発した海底ケーブルには、OCC-SC500シリーズのLW (Light Weight)ケーブルを使用しており、17mmと細径ながら水深8,000mの海底でも耐えうる強度を有しているという。これまで、伝送容量を大幅に拡大するためには広径の海底ケーブルにより多くのファイバを収容することが一般的だったが、マルチコアファイバを適用することで空間が小さな細径ケーブルを用いて伝送容量を拡大することができる。

  • OCC SC500 LWケーブルのイメージ

あわせて、外径が細く荷重も小さなケーブルを適用することで、広径ケーブルを使用する場合と比べてケーブルに必要な材料費を安く抑えることができ、敷設船へ効率的に積載可能であることから、コスト削減に貢献するとしている。

開発したマルチコアファイバケーブルを用いて、実際の利用を想定し水中・長距離の伝送試験を行ったところ、ファイバの試験結果と比べ、光信号パワーの減衰量、コア間クロストーク(隣接するコアからの光の漏れ込み量)などの光学特性に大きな変化はなく、良好な伝送性能を得ることに成功したとのことだ。