近畿大学(近大)とオリザ油化は9月29日、オリザ油化が2018年10月に上市した「トマト種子エキス」の新たな効果として、角層セラミド増加および抗炎症作用をメカニズムとした皮膚保湿効果を明らかにしたと発表した。

同成果は、近大 薬学総合研究所の森川敏生教授を中心とした、オリザ油化との共同研究チームによるもの。詳細は、スイスの化学を扱うオープンアクセスジャーナル「molecules」に掲載された。

今回の研究では、トマト種子に含まれる11種類の成分が同定され、それらの皮膚の保湿作用における有用性が評価された。その結果、ヒトの皮膚表面から単離された「ヒト表皮角化細胞」や、ヒト表皮三次元培養モデルを用いた実験において「サポニン成分」である「リコペロサイドH」が、角質層のセラミド増加作用を伴う皮膚保湿作用を有することが明らかとなった。

また、「リコペロサイドH」の抗炎症作用を調べたところ、炎症モデル動物への経口投与による炎症の抑制効果が確認。その機序は、「糖質コルチコイド受容体」の「部分アゴニスト」作用によるステロイド様作用であることが示唆されたとした。

これらの結果より、トマト種子に含まれる「リコペロサイドH」は、角質層のセラミド増加作用および抗炎症作用によって皮膚の保湿作用を示すことが明らかとなった。今回の研究成果により、未利用資源であるトマト種子が保湿効果をもたらす健康食品・化粧品の素材として有用であり、乾燥肌の改善に貢献できることが期待されるとしている。

またオリザ油化では、これまでに見出していた皮膚内部の真皮へ働きかける効果による肌の弾力ケア作用だけでなく、皮膚外側の表皮へ働きかける効果による皮膚炎症状(ドライスキンなど)改善効果の2つの側面を合わせ持つ新たなコンセプトの美容素材として、ほかの同種素材との差別化を図っていく予定としている。さらに、同素材は食品用素材としてだけではなく、塗布目的のスキンケア化粧品素材としてもアピールしていく予定とした。

  • トマト種子エキス

    今回の研究の概略図 (出所:オリザ油化プレスリリースPDF)