近年の中国本土から台湾の産業技術、とりわけ半導体関連技術を盗もうとする試みが頻繁に発生していることを受け、台湾の全体的な経済的および産業的優位性を維持し、台湾の産業および技術の不適切な流出を防ぐ必要があると台湾政府行政院傘下の中国大陸に関する業務全般を担当する政府機関である大陸委員会が判断し、台湾政府機関から一定額以上の委託または助成を受けている個人、あるいは組織、企業の従業員は、中国への渡航に際して台湾政府当局の事前審査と承認を必要とする法案が近く台湾議会に提出されることになったと台湾メディアなどが報じている。

該当者が無断で中国へ渡航した場合、200万NTドル(約800万円)以上、1000万NTドル(約4000万円)未満の罰金が科されるという。

台湾の行政院傘下の大陸委員会は9月29日に第27回委員会を開催し、「海峡横断規制第9条と第91条の改正案」について承認した。同委員会によると、中国は、高額を支払うスパイ活動、秘密の盗難、技術移転の強制などの方法を繰り返し使用して、台湾の技術を盗んでおり、台湾の主要な技術が漏洩するのを防ぐために、法律の強化を行い、承認を得るために行政院に報告し、審議・成立のために立法院(日本の国会に相当)に転送するという。

ただし、一定の基準を下回った委託および助成の場合は、中国への出国の管理の対象にはならないとするほか、中国へ渡航後、台湾への帰国義務に違反した場合も罰金を科す場合があるという。

台湾の半導体関係者によると、近年、台湾で発生した多くの中国によるスパイ事件は、軍事的秘密だけでなく、主に半導体がらみの産業的または技術的漏洩や半導体技術者の強引な高額引き抜きが目立ち、国家安全保安上の立場からも規制強化を求める声が上がっているという。