Texas Instruments(TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は9月29日、電気自動車(EV)ならびにハイブリッド車(HEV)向けに、独自の内蔵トランス技術を採用した高精度1.5W絶縁型DC/DCバイアス電源モジュール「UCC14240-Q1」を発表した。
地球規模の気候変動などを背景に、EVへの注目が高まっているが、走行距離の向上のためには車体の軽量化が必要であり、中でももっとも重いコンポーネントであるパワートレインの重量削減が求められている。
その解決手法の1つとして、個々の絶縁型ゲートドライバに専用のバイアス電源を備える分散型電源アーキテクチャへの移行が進められており、これにより1か所のバイアス電源で問題が発生した場合でも、ほかのバイアス電源が稼働することで、それらが電力供給する各ゲートドライバを継続動作させることができるようになり、走行中に障害が発生した場合でも、自動車の安全性を確保することができるようになる。
また、絶縁型DC/DCバイアス電源モジュールを採用することで、システムレベルのスペースの削減と軽量化も可能となることから、同社では、同モジュールの開発に至ったとする。
同モジュールは、量産前バージョンでは独自技術のプレーナトランスを内蔵することで、1次側から2次側への静電容量を3.5pFに抑え、高速スイッチングに起因するEMIの低減ならびに150V/nsを上回る過渡電圧体制(CMTI)性能を実現しつつ、36ピン、12.8mm×10.3mm×3.55mmのシュリンク・スモール・アウトライン・パッケージ(SSOP)で提供されることから、従来の大型トランスを備えたソリューション比で部品点数は26から10へと削減できるほか、容積も75%縮小するという。
また、競合製品比2倍となる60%の効率を提供するという。さらに、周囲温度が105℃でも1.5W以上の電力を供給でき、IGBTに加え、SiCやGaNの各スイッチを高周波で駆動させることが可能になるともしている。
加えて、内蔵している閉ループ制御は、-40℃~+150℃の温度範囲で±1.0%の精度でデュアル出力を可能にしているため、より定格電力の小さなパワースイッチを使用可能であり、これにより過電流保護の改善も可能になるとしている。
なお、同モジュールの量産前バージョンはすでに同社Webサイトから1000個受注時の単価(参考価格)4.20ドルにて入手可能となっており、量産品についても近々提供を開始する予定だとしている。また、評価ボード「UCC14240Q1EVM-052」も59ドルで入手可能だという。