富士通は9月29日、ビル管理システム「FUJITSU Public Sector Solution Social Century Sustainable 施設総合管理システム Futuric」(以下、Futuric)シリーズの新たなラインアップとして、クラウド型の新サービス「Futuric/CL」を販売開始すると発表した。販売モデルは設備管理点数に応じて、最大200点まで監視可能なライトと最大3000点まで監視可能なスタンダードの2つのモデルから選択可能だ。料金はライトが月額7万7000円、スタンダードが月額44万円。

Futuricシリーズは大規模および中規模ビル向けにラインアップを展開していたが、ビル管理に課題を抱える鵜中小規模のビルや複数のビルを管理するオーナー向けに月額制のクラウドサービスとして提供する。Futuricシリーズは管理ビルや施設内に設置された設備の稼働状況やエネルギー使用量のデータをクラウドに蓄積し、インターネット上の統合建屋ダッシュボード画面で一元管理可能となった。

  • トレンドグラフを出力した画面イメージ

また、同サービスを利用することで、温湿度計などから出力されるアナログ計測値や電力量計から出力されるパルス積算値を定期的に収集してトレンドグラフとして表示可能なため、エネルギー使用の傾向や設備の状態をクラウド上で常時監視できる。ビルオーナーや管理者はWindows OSのPCからインターネット経由で統合建屋ダッシュボード画面にアクセスすることで、最大100棟まで複数の設備の状態をリアルタイムに把握し、遠隔操作で設備機器のON・OFF制御やスケジュール運転の設定などを一元管理できるとのことだ。

これによって、常駐管理者が不在のビルでも遠隔から監視や制御が可能となるため、複数ビルの管理や休日夜間対応などにおける人手不足の解消にもつながるという。さらに、設備の稼働状況を可視化して無駄な空調や照明をコントロールすることでエネルギー消費を削減し、ZEB(Net Zero Energy Building)の達成に必要な省エネを実現して脱炭素化にも貢献する。設備の故障や建物内の異常などの警報を検知した際には、Webブラウザの起動状態にかかわらずパソコンから警報音が鳴り、迅速な対応が可能となる。

  • 統合建屋ダッシュボードの画面イメージ

また、同サービスは大規模ビルの運用に適したオンプレミス型の設備監視システムで必須とされるB-OWS(マンマシン機能)やB-BC(収集・制御系マシン)の一部をクラウド側で実行可能となっており、専用サーバの現場設置や、耐用年数が経過した機器の交換、OSやWebブラウザなどのアップデート作業が不要である。初期導入や機器更新コスト、および運用負荷が大幅に削減できるとのことだ。

新型コロナウイルスの感染拡大によりニューノーマルな働き方が多様化する中で、ビル管理業界では防災センターや中央監視室の管理業務において常駐勤務が必要とされていることに加えて、人手による点検作業なども継続して行われている。また、大規模から中規模ビルでオンプレミス型の設備監視システムの導入による業務効率化が進む一方で、中小規模ビルにおいてはコスト面などの理由から設備監視システムの導入が限定的な上、大規模ビルよりもさらに慢性的な人手不足や高齢化が課題となっていた。こうした背景を受けて同社は、遠隔で監視や制御が行えるクラウド型の新サービスとしてFuturic/CLの開発に至ったのだという。