富士通とKDDIは9月28日、新たなデジタル社会の実現と5Gをベースとしたビジネスの共創に向けて、富士通のローカル5GとKDDIのau 5Gの技術を活用し、新たな顧客体験価値の創造や社会課題解決に資するサービスの実現を目的とするパートナーシップを締結したと発表した。
具体的には、ローカル5Gとau 5Gを相互連携する「5G Service Platform」の実現に向けた技術実証や、リアル(現実空間)とバーチャル(仮想空間)を融合したBtoBtoXサービスの共創に取り組む。さらに、両社が運営する5Gアライアンスへの相互参加によるパートナー企業とのエコシステムの構築を目指すとのことだ。
プラットフォームサービスのコンセプトである5G Service Platformは、ローカル5Gとau 5Gを連携してBtoBtoXのサービスを全網羅的につなぐものである。両社は同プラットフォームを介して、ショッピングモールやジム、レストランなどのリアルな場所での体験がバーチャルによって拡張される世界の実現を目指す。コンシューマー向けビジネスを高度化させたい企業や、街や施設全体の価値向上を目指す企業、自治体などに提供する予定としている。
技術実証として、富士通が提供する高精細カメラやロボットなどのIoTデバイス向けローカル5Gサービスと、KDDIが提供するスマートフォンやタブレットなどに向けたau 5Gサービスの相互連携を開始する。また、マルチアクセス・エッジコンピューティング(MEC)やローカル・エッジコンピューティング(ローカルEdge)をシームレスに融合し、アプリケーションおよびデータの最適配置を実現する実証にも取り組む。
こうした技術実証をもとに、5G、IoT、映像コンテンツ、XRなどを利用し、人の行動を起点とした「5G Service Platform」を提供する。最初の取り組みとして、施設の所有者や運営者に向けて施設全体の最適化による環境負荷軽減や業務効率化につなげる仕組みを構築し、施設利用者に新たな体験価値を提供する予定だ。さらには、街や施設だけでなく社会全体のリアル体験とバーチャル体験の融合を目指す。
例として、ジムではその日の利用者の活動量や健康状態に応じて最適化されたエクササイズが可能になるという。また、レストランではその日の体調に応じた料理メニューの提案が受けられるなど、利用者自身の趣向や状況に応じたパーソナルなサービスの提供につなげられるとしている。
両社は、それぞれが運営する5Gアライアンスである「ローカル5Gパートナーシッププログラム」と「KDDI 5Gビジネス共創アライアンス」へ相互に参加する予定だ。これにより、富士通が提供するローカル5Gに関連する無線技術や基地局構築技術に加えてさまざまな業種のソリューションナレッジなどのアセットと、KDDIが提供するau 5G、5Gに関するソリューションおよびIDや課金、決済といったサービス基盤が連携する。また、さまざまな業種および業態のアセットも掛け合わせることで、両アライアンスに参加する他のパートナー企業も交えたオープンなパートナーエコシステムを目指す。
新型コロナウイルス感染症の影響により、人と人が接触するコミュニケーションの実施が難しい状況の中、持続可能な社会システムの構築やデジタル活用の動きをさらに加速させることの重要性が高まっている。また、グローバルな気候変動に対応するために、人とモノ、サービスをリアルタイムに繋ぐことでエネルギーの効率的な利用や廃棄ロスの軽減などを実現し、企業や自治体の脱炭素化、環境・社会課題の解決に貢献することも急務である。
こうした背景を受けて両社は、社会課題の解決や社会のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するため、5Gを基盤としたリアルとバーチャルを融合させた新たな体験型価値やサービスの提供に向けたパートナーシップの締結に至ったとのことだ。