東芝子会社の東芝デジタルソリューションズと長崎市は9月27日、ブロックチェーンを活用した契約事務のデジタル化に関する連携協定を結んだと発表した。同社が長崎市に導入している電子調達システムと連携するブロックチェーンを活用した電子契約システムのパイロット版を開発し、導入効果の検証を行う。同社によると、ブロックチェーンを自治体の電子契約システムに取り込むことは国内初の試みとのことで、同協定の有効期間は9月27日より1年間としている。
同協定により両者は、ブロックチェーンの持つ、契約合意などの取引行為、意思決定、移動追跡などの事象に対し、セキュリティを担保しながら記録保存できるという特徴を生かし、官と民との電子契約の実用性を検証する。
検証用のシステムには同社のブロックチェーンエンジンを活用し、ブロックチェーンのネットワークをコンソーシアムとして複数社が共同で管理することで、契約合意などの記録保存を維持していくとしている。
具体的には、改ざんの防止や契約書に付随する各種届出、図面、図書などのハンコレス、ペーパーレスの実現につなげる。また、電子入札用ICカードを活用するなど、電子調達システムと連携し、調達業務全般の効率化を図る。
また、社会のデジタル化を妨げていた信用確保に対するコスト(費用、時間、労力、仕組)を抑制し、マイナンバーカードとの連携や、ICカードを使わないeKYC(本人確認)とを組み合わせて、自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する。すべての文書を対象にした決裁記録、本人確認が可能な申請届け出などのさまざまな分野へ適用可能だ。
同社は今後、行政サービスの利便性を向上させ、地方自治体の働き方改革を支援していく方針だ。