ラクーンコマースは9月27日、同社が運営するBtoB越境EC「SD export」について、鯖江商工会議所(福井 鯖江市)が取り組む地産品の海外販売支援事業「CROSS BORDER『SABAE』(クロスボーダー鯖江)」に参画すると発表した。
同事業は、鯖江商工会議所が全国の他の商工会議所に先駆けて、2021年1月よりスタートした取り組みだ。CROSS BORDER『SABAE』へのSD exportの参画によって、地元中小企業はオンライン上で海外の小売店への卸販売が可能になるため、販路開拓が期待できるという。
新型コロナウイルス感染症流行の影響によって国内展示会の縮小や中止が相次ぎ、海外展示会への出展や現地での営業活動も制限される中、多くの企業において新たな販路開拓施策の実施が喫緊の課題となっている。
そこで鯖江商工会議所では2021年1月、地元企業がコロナ禍で消失した売上回復を目的として、海外YouTuberを活用した販促支援を手がける「PROMOJAPAN(プロモジャパン)」、海外消費者向けのBtoC越境ECサイト「Zenplus(ゼンプラス)」と共に、海外への販路開拓支援事業としてCROSS BORDER『SABAE』を立ち上げた。
同事業では支援した商品の前月比売上が約1.2倍に増加して販売実績につながったことから、さらなる事業拡大と地元企業の売上を拡大するため、海外小売店への卸販売の強化策を模索していたという。こうした背景を受けて、ラクーンコマースは鯖江商工会議所が取り組む同事業への参画に至ったとのことだ。
BtoB越境ECサイトであるSD exportは、国内メーカーと海外小売店が取引できる販売専用の越境ECプラットフォーム。世界134カ国を対象として、マッチングから受注、決済、貿易事務、物流まですべて代行する。メーカーは、同サイトの活用により、国内と変わらない作業で手間やリスクなく海外向けに販売開始できるという。
そして、CROSS BORDER『SABAE』にSD exportが参画することで、これまでの海外消費者向けの販売にとどまらず、海外に実店舗を構える小売店やバイヤー、ネットショップ事業者などに対する販売の強化も可能となる。同サイトのサービス利用を希望する地元企業は、鯖江商工会議所ホームページから問い合わせが必要。
今回の参画にあたって開催された記者説明会において、ラクーンコマース グローバル戦略部長 元健一郎氏は「SD exportは、メーカー製品を当社の倉庫に送ってもらうだけで完結するサービスであり、英文書類の用意や保険加入まで代行するので、国内向けの販売と変わらない手間で海外に進出できる。鯖江市の越前漆器協同組合の商品の取り扱いを既に開始しており、今回の参画によってさらに鯖江市の商品を海外に広められたら」と述べた。
また、SABAE CREATIVE COMMUNITY運営責任者である田中英臣氏は、「CROSS BORDER『SABAE』は、モノづくり産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を支援することによってすべての地元中小企業が海外に向けて魅力を発信できるシステムとして構築したもの。これまではBtoC向けの越境ECをサポートしてきたが、SD exportの参画によってBtoB向けの越境ECにも対応できるようになった。この取り組みはまだ始まったばかりであり、今後さまざまな企業に利用してもらう中で、より多くの企業が利用しやすいようにサービスを進化させていきたい」と語った。