半導体市場動向調査会社であるTrendForceによると、DRAMの生産は2021年第3四半期(7~9月期)にピークを迎えたことから、DRAMの供給量は今後、需要を上回る見込みだという。また、DRAMサプライヤ各社ともに健全なレベルの在庫を保有しているが、最終製品市場のクライアントのほとんどが、健全レベルよりも高いレベルの在庫を保有していることから、今後の調達についての意欲は低下していくこととなるため、2021年第4四半期(10~12月期)の平均販売価格はDRAM全体で前四半期比で約3~8%ほど下落する可能性があるとしている。

  • DRAM価格

    各用途別DRAM価格の2021年第3四半期および第4四半期の前四半期比増減率予測 (出所:TrendForce, 2021年9月時点)

各DRAMセグメントの動向

在宅勤務および遠隔教育の普及がノートPCに対する高い需要を生み出していたが、欧米を中心に新型コロナワクチンの接種が進んでいることを背景に、Chromebookを中心とする需要が弱まっており、ノートPCの生産台数は2021年第4四半期に減少するとTrendForceでは予想している。そのためPC DRAMの不足も同四半期には解消することが期待されるという。

また、最近のDRAMメーカーのDRAM供給ビット数量に占めるPC DRAMの割合はサーバDRAMが高まっている反動で低下しており、第4四半期に深刻なレベルの余剰が発生する可能性は低いと見られているほか、PC DRAMモジュールの現在のスポット価格の平均値も、同第3四半期の契約価格よりもはるかに低くなっているとしている。

DRAMメーカーが出荷を増やしているサーバDRAMだが、こちらも北米と中国のCSP(クラウドソリューションプロバイダ)が、過去2四半期にわたって部材不足によるサーバの出荷遅延を避けることを目的に積極的な調達を進めてきた結果、クライアント各社は現在8週間以上のサーバDRAM在庫を保有しており、全体的な需要は徐々に鈍化してきているとする。そのため、こうしたサーバDRAMの第4四半期の契約価格は同0~5%の下落となると予想されるという。

スマートフォン(スマホ)を中心とするモバイルDRAMは、スマホの需要が伸びないことからスマホメーカーは、調達を遅らせ、在庫削減を優先させている。そのため、第4四半期のモバイルDRAMのビット需要は減少する見込みで、価格を下げても売り上げの拡大につながらないとみられるため、ディスクリートDRAM、eMCP、uMCPの価格ともに第4四半期は前四半期比でほぼ横ばいで推移するものとみられるという。

グラフィックスDRAMは、暗号通貨マイニング市場の復調やディスクリートグラフィックスカードならびにノートPC向け市場が堅調ながら、グラフィックスカードの別の部材の入手が困難ということもあり、購買からの需要の低迷が続く見通しで、第4四半期の契約価格は同0~5%程度の下落と見込まれている。

コンシューマDRAMは、都市封鎖の段階的な緩和を受けてホームエンターテインメントを中心とする個人消費が欧米を中心に減少傾向にあり、家電などの需要が低下していることなどから、DDR4の第4四半期の契約価格は同5~0%ほどの下落と見られている。DDR3も同様に下落する見通しで、同3~8%ほど下落すると見られている。