日立システムズは9月27日、IoTを活用して特定地域のセンサーおよび映像情報をリアルタイムで収集・把握・共有し、現場の情報を可視化して地域防災や観光促進などさまざまなサービスに活用できる「エリア情報サービス」の提供を開始したと発表した。

同サービスは映像や画像を含む地域の情報をクラウドで一元管理することで、時間や場所を問わずに共有可能にするもの。災害発生時には、IoT機器から収集した情報やスマートデバイスなどで撮影した現場の様子を登録することで、災害地域全体の状況を迅速に把握できるようになり、避難所や対策本部など離れた場所にいる職員ともリアルタイムに情報共有できる。

  • 「エリア情報サービス」のサービス概要図

内閣府が定める「災害対策基本法」第42条に基づいて、自治体は地域防災計画を策定し、災害発生時には災害応急対策および応急措置を実施する義務がある。特に、近年の災害の大規模化にあわせて、迅速に対応が行えるよう防災情報システムなどを活用した情報の収集と共有および伝達を行う機能の充実が求められている。

しかしその対応状況は、予算面などの理由から自治体によって開きがある。また、導入されているシステムによっては、災害現場や避難所などからは利用できず、システムへの入力は庁内の職員が無線や電話を用いて現場の状況を確認しながら実施する必要があり、正確な情報を早急かつ安価に共有できる仕組みの導入が課題であるという。

こうした背景を踏まえで同社は、地域防災を支えるエリア情報データ連携ツールとして「エリア情報サービス」の提供を開始したとのことだ。同サービスはクラウドサービスであり、インターネットに接続可能な端末さえあれば、さまざまな場所から情報の登録や確認が可能だ。

  • 「エリア情報サービス」の画面イメージ

同サービスは映像や画像を登録する際に文字情報を追加できる「タグ付け機能」を備えているため、特定のタグが付いた映像や画像のみの検索にも対応する。類似あるいは関連する災害の映像や画像をすぐに抽出し確認できるため、過去の被災状況との比較にも活用できる。

同サービスは地域防災以外の用途でも活用可能である。各地域や施設に設置されたカメラの映像やGPSによる位置情報などの情報と組み合わせることで、地域の混雑解消や観光促進、製造現場での部品位置の把握、作業の滞留状況の改善、物流業での車両の現在地情報や配送地点の登録による効率的な運送計画の立案など、さまざまなシーンでの活用が想定される。

カメラ映像から人の流れや密度の情報を収集して分析することで、特定地域の混雑を緩和する施策の検討にもつながる。地域の観光施設や店舗など観光情報を一元管理し、観光客に対してデジタルサイネージなどを通じて各種情報を配信することで、店舗の混雑状況や天気、来訪客の属性に合わせた観光プランが提供できる。

  • 「エリア情報サービス」の地域防災利用の場合の主な機能