ボールウェーブ、東北大学、豊田合成の3者は9月24日、空気中のエアロゾルに介在する介して新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を捕捉するセンサを考案したと発表した。

同成果は、ボールウェーブ、東北大学大学院医学系研究科、 豊田合成らによる研究チームによるもの。

ボールウェーブは東北大学大学院工学研究科の山中名誉教授らによって開発された、球の表面に集中して、横方向にも拡がらず繰り返し周回する弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)を用いるセンサ「ボールSAWセンサ」を活用したビジネスを推進してきているが、3者は共同研究として「ボールSAWウイルスセンサの原理検証に関する研究」に取り組んできたという。

その研究から今回、空気中のエアロゾルに含まれる水をかぶった状態のウイルスをボールSAWセンサの表面に抗体またはアプタマーを固定し、保持されたウイルスのスパイクたんぱくと反応させてウイルスを捕捉するセンサを考案したという。このセンサの応答時間は10秒以下で、ウイルスが微量でセンサ応答が小さくてもボールSAWセンサにより応答が増幅されるため、高感度に検出できると期待されるとしており、実際にエアロゾル中の新型コロナウイルス由来のタンパク質を1分以内に捉えることに成功したとする。

なお、研究チームでは今後、豊田合成の表面処理技術と、東北大の呼気中のウイルスや炎症性たんぱくを質量分析で検出する高精度な診断法である呼気オミックスの知見を総合して、患者の呼気からウイルスを検出する診断機器をはじめ、飲食店、公共交通機関、大規模集客施設、一般家庭などの環境空気中のウイルスをモニターする機器の開発を目指すとしている。また、将来的には、情報通信機器に搭載して、ウイルスの拡散状況を実時間で可視化するシステムを開発できる可能性もあるとしている。

  • 新型コロナウイルス

    エアロゾルの水を利用した抗原抗体反応によりウイルスを捕捉するセンサのイメージ (出所:プレスリリースPDF)