マルチクラウドインフラ自動化ソフトウェアを提供する米HashiCorpは、3000人以上のIT専門家を対象にクラウド導入の実態、課題や阻害要因、新型コロナウイルスがクラウド採用へ与える影響などを調査し、その調査結果を9月22日に発表した。同調査の地域ごとの割合は、北米が39%、欧州、中東、アフリカが34%、アジア太平洋が20%、中南米が6%、回答なしが1%だった。なお、回答者のうち日本在住者は1%未満。
同調査によると、76%がすでに社内でマルチクラウド戦略を採用していると回答した。マルチクラウドとは、複数のクラウドサービスを組み合わせて最適な環境を実現する運用形態を指す。
また、この数字が2年以内に86%に増加すると回答者は予測しているという。マルチクラウドの採用を促進している最大要因はデジタルトランスフォーメーションでるという回答が最も多く(34%)、次いでシングルベンダーロックインの回避(30%)、コスト削減(28%)となった。
利用ベンダーについては、大手のパブリッククラウド3社の中では88%がAWSを利用しており、今後2年間でAWSの利用には変化がないだろうと回答者は予測している。Microsoft Azureは使用あるいは使用目的として2番手(74%)、Google Cloudは3番手(61%)だった。
またクラウドに対する予算に関しては、40%がクラウドに年間10万ドルから200万ドルの予算を費やしている一方、27%の企業では10万ドル未満となった。18%の企業が200万ドルから1000万ドル、15%の企業は1000万ドル超の年間予算をクラウドに費やしている。
また回答者の39%が、クラウドに計画していた予算を超過したと回答しており、その原因で最も多かったのが優先順位の変更(29%)または新型コロナウイルスに関連した予期せぬ費用(21%)だと回答している。
一方で、マルチクラウド導入の阻害要因の上位は、コストへの懸念(51%)、セキュリティへの懸念(47%)、そして社内のスキル不足(41%)であることが分かった。マルチクラウドの運用への阻害要因も、スキル不足(57%)、人員数に影響する予算制限(27%)、クラウド環境間でのワークフローが一貫していない(33%)、組織やチームのサイロ化、協業がうまく進まない、プロセスが複雑すぎる(29%)などが挙げられた。
HashiCorpの共同創業者兼CTOであるアーモン・ダドガー氏は、「マルチクラウドの時代は既にやってきている。しかしながら、スキル不足やクラウド環境間のワークフローの違い、組織内のサイロ化など、すべての企業がマルチクラウドを運用できていない」とコメントしている。