TrendForceによると、2021年第2四半期の半導体ファブレスメーカー上位10社の売上高合計は前年同期比60.8%増の298億5200万ドルに達したという。

同四半期の売上高トップはQualcommで、スマートフォン(スマホ)各社の主力製品ならびにハイエンド5Gハンドセットに対する需要のおかげで、売上高は前年同期比07.0%増の64億7200万ドルとなった。Huaweiの米国商務省のエンティティリスト記載による制裁の影響から、XiaomiやOPPO、Vivoなどのほかの中国勢が買い増ししたことが追い風となった模様である。

2位のNVIDIAはゲーム用グラフィックカードの同四半期売上高が同91%増、データセンター向けGPUの売上高も同46%増と伸び、暗号通貨のマイナーからの需要などもあり、全体売り上げも同68.8%増の58億4300万ドルとなった。

3位はBroadcomだが、同社は売り上げの大部分を有線接続とワイヤレス製品が占めており、5G基地局向け高速EthernetコントローラICや5Gスマホ向けWi-Fi 6チップの需要が伸び、全体の売上高も同19.2%増の49億5400万ドルと2桁増を達成したものの、上位2社の伸びが圧倒的な結果、後塵を拝す結果となっている。

半導体業界で進行中の生産能力不足とそれに伴う半導体チップの値上げのおかげで、2021年第2四半期の世界ファブレスIC設計企業上位10社の売上高は前年同期比60.8%増の298億米ドルに達したと半導体市場動向調査企業であるTrendForceが発表した。特に、台湾企業はこの期間に目覚ましい業績を上げ、MediaTekとNovatekの両方が前年比95%以上の成長を記録した。一方、米AMDの売上高も、前年同期比でほぼ倍増し、トップ10の中で最高の成長率を記録した。

4位のMediaTekの売上高は同98.8%増の44億8900万ドル。収益の大半がスマホ向けチップが占めており、同事業単体の売上高は、同143%増と大きく伸びている。5位のAMDも売上高が同99.3%増の38億5000万ドルとトップ10社中最大の伸びを見せた。ゲームコンソール市場の伸びが背景にあるほか、エンタープライズ、組み込み、セミカスタム分野でも伸びを示し、さらにサーバCPUのクライアント採用の増加などもあるという。サーバプロセッサ事業だけで見ると、同183%増と驚異的な伸びを示したという。

  • TrendForce

    2021年第2四半期の半導体ファブレスIC設計企業の売上高ランキングトップ10 (出所:TrendForce)

なお、2021年第3四半期の動向については、ある米国の証券会社が、エンドデバイス市場での需要が減速し、特定のコンポーネントの注文が減少する可能性があるとの見方を示しているが、実際にはファウンドリの新たな製造ライン増設が道半ばであり、まだ大量生産を開始していないことを考えると、現在の半導体不足は今後もしばらく続くものとTrendForceでは予想している。