半導体材料市場調査企業である米TECHCETは、2021年のスパッタリングターゲット市場(貴金属を除く)は、前年比8.5%増の7億4000万ドルとの予測を公開した。
新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴うロジスティックの混乱により、スパッタリングターゲットの材料は、ほかの多くの半導体材料同様、コスト高となっているという。また、半導体チップベンダとスパッタリングターゲットサプライヤはどちらも、Cu/Cu合金ターゲット、およびLam Researchの200mm PVDシステムで使用されるCuおよびTa中空カソードマグネトロン(HCM)ターゲットの供給がタイトとなっており、リードタイムが長くなっていることを確認しており、中でもCuおよびCu合金ターゲットのリードタイムが長引いているのは、高度なデバイス製造におけるこれらの材料に対する強い需要と原材料価格の上昇が原因とみている。
スパッタリングターゲットで用いられるTa、Cu、Alなどの原材料価格は上昇が続いており、中でもCuについては、新規鉱山の開発が限られる一方、既存の鉱山は老朽化によって生産性が低下している。にもかかわらず、今後の需要は増加していくと予想されており、将来の価格設定に圧力がかかる可能性があるとTECHCETではしているほか、Ag、Pd、Ru、Irなどの貴金属の価格も上昇しており、中でもAgとPdの価格は2020年初頭に比べて40%上昇し、RuとIrについては3桁の価格上昇となっているとしている。
なお、Cu/Cu合金のターゲットの需要と供給のバランスが崩れていることもあり、半導体工場は、既存の大規模なターゲットサプライヤよりも小規模なターゲットサプライヤとの連携を進めようとしているという。TECHCETでは、メモリメーカーがそうした小規模の半導体向けターゲットサプライヤに注目していることを確認しているとしており、安価でCu/Cu合金ターゲットを入手しようという思いが背景にあるものと見ている。