竹中工務店と竹中土木は9月14日、米Boston Dynamicsの四足歩行ロボット「Spot」を活用した実証実験を通じて、建設現場における自動巡回と遠隔操作による業務支援を実現したと発表した。工事記録写真の撮影、工事の進捗管理、資機材の配置管理など、建設現場で行われるさまざまな管理業務にかかる負担を10%程度削減できるという。

  • Spotによる自動巡回

建設現場では工事の進捗により環境が変わるため、「Spot」が自分の位置や経路を把握して自動巡回することが困難だった。今回の実証実験では、標準の3D LiDAR(三次元レーザ測域センサー)を利用し、「Spot」の背中に全天球撮影カメラを搭載することで、自動巡回しながら工事進捗管理や資機材管理のための写真を取得できることを確認したという

たとえば、事務所ビルの建築工事などにおいて、前日に通ったルートに新しく間仕切り壁が設置され、ルートの片側半分が大幅に変更された状態でも、エラーを起こすことなく、同ルートを移動することが可能になった。

また両社は、建物1階から工事中の建物をスロープや階段を利用して指定された4階の確認フロアを自動巡回して戻ってくるような、日常の運用を想定した実証実験にも成功している。

  • 遠隔操作に搭載した装置

さらに遠隔操作に対応するために、「Spot」の背中には標準の360度カメラ、光学30倍ズーム付きパンチルトカメラのほかに「首振台座付きタブレット端末」、「小型プロジェクター」、「通話装置」と、これらをコントロールする「小型コンピューター」、「バッテリー」とともに遠隔通信を可能とするLTEモバイルルーターが搭載された。

これらを遠隔地のオペレータが自身のPCや専用コントローラを操作することで、建設現場内を自由に移動しながら作業の確認をしたり、現地の作業員らとモニターやプロジェクターによって投影された資料や図面を共有しながら打合せをしたりすることが可能。

また、遠隔操作できる測量機を搭載することで、寸法や精度管理業務なども遠隔地から実施することが可能であることも確認。

両社は今後、2024年に予定されている時間外労働の上限規制への対応策の一つとして「Spot」の導入を進めるため、搭載機器を建設現場の担当者でも扱えるようユニット化するとともに、利便性を向上させたオペレーションシステムの開発を目指す方針だ。