日立ソリューションズ東日本とトップリバーは9月10日、「AIを活用したレタスの生育予測システム」をトップリバーの御代田農場および富士見農場で本格運用を開始したと発表した。
両社は農林水産省が公募する「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」において、「データを活用した農業経営をモデル化し、データに基づき安定的に収益をあげることができる次世代農業人(スマートファーマ―)育成」の実証を、令和元年度および令和2年度の2カ年で実施している。
「AIを活用したレタスの生育予測システム」は同実証プロジェクトにおける取り組みの一つであり、今回の本格運用は実証実験の結果を受けてのもの。
仲卸業者や食品加工業者などの実需者と直接契約を行い、決まった日に決まった量を出荷する契約出荷においては、生育予測により出荷日を予測して生産ロスを最小限に抑えながらも、約束した出荷量を確実に生産することが重要だ。
これまでの生育予測の手法としては、生産者の経験則に基づいた数値を登録する方式が採用されていたが、この方式では熟練した経験が求められる上、年毎の気象条件の変動に左右されやすいという課題があったという。
また、葉齢の測定など植物生理に基づいた方式の導入も検討されてはいるが、導入前後に、専門家による一定期間をかけた調整(フィッティング作業)が必要となるため、導入の難易度が高い点も課題となる。
今回開発した「AIを活用した生育予測システム」は、過去2年間における1kmメッシュの気象データと生育日数のデータを利用して、気象の変化による生育日数の変化や生育に影響を与えるパラメータをディープラーニングで学習させることによって、時期ごとの生育日数を自動算出する方式を採用している。
同システムは、これまでに使用されてきたシステムと比較して、専門的な知識を必要とせずに、かつ短期間での導入ができたとのことだ。さらに、実際の定植日と生育予測による収穫予定日が、ガントチャート形式で一覧表示が可能なため、生育予測による出荷量の見通しが一目で把握でき、将来の過不足の情報が把握可能としている。
従来の経験則に基づいた生産者の予測値では、収穫予測日と実際に収穫した日の差がプラスマイナス3.1日だったという。一方で、同システムで予測した結果はプラスマイナス1.9日であり、高い精度を実現している。こうした結果を受けて両社は本格運用を開始したとのことだ。