日本学術振興会(里見進理事長)は生物学で世界的に優れた業績を上げた研究者を顕彰する「第37回国際生物学賞」を、原始人の一種である「ラミダス猿人」の化石発見を主導するなど人類の祖先の姿を明らかにした米カリフォルニア大学バークレー校のティモシー・ダグラス・ホワイト教授(71)に授与することを決めた。賞金は1000万円。授賞式は例年11~12月に行うが、同振興会は新型コロナウイルス感染症の感染状況を見極めながら式の実施可否を決めるという。

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    ティモシー・ダグラス・ホワイト教授(日本学術振興会提供)

日本学術振興会によると、ホワイト教授はアフリカで生まれた初期人類とされる、370万~300万年前のアウストラロピテクス・アファレンシスの化石を詳細に分析する研究で中心的な役割を果たした。1990年以降は、エチオピアで「ミドル・アワッシュ調査プロジェクト」と呼ばれる人類化石の調査チームをエチオピアの研究者と共同主宰し、92年にエチオピアの盆地から約440万年前のアルディピテクス・ラミダス、通称ラミダス猿人の化石を発見した。

ホワイト教授がリーダーとなり、日本の諏訪元・東京大学特別教授も参加していた同調査チームの発見により、ラミダス猿人の歩行様式、採食行動や性別の違いなどが判明。それまで不明だったアウストラロピテクス段階より前の人類進化の様相を明らかになった。

同振興会は「今日までのホワイト博士による研究は、化石資料などの直接的証拠の提示とその精緻な解釈によって、人類の進化過程のさまざまな段階についての理解を飛躍的に進めてきた。特に起源に近い時期の人類祖先像を明らかにした功績は高く評価される」としている。

国際生物学賞は昭和天皇の長年の生物学研究と在位60年を記念し1985年に創設された。これまで2016年にノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典氏が15年に受賞するなど、日本人は7人選ばれている。

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