東証の適時開示情報を基に経営権の異動を伴うM&A案件について、ストライク(M&A Online)が集計したところ、IT・ソフトウエア業界の2021年8月のM&A発表件数は11件で、8月としては2012年以降の10年間では、2018年(16件)、2019年(14件)、2020年(同)に次ぐ4番目だった。
取引金額は約973億円で、こちらは8月としては2012年以降の10年間では2020年の約254億円を上回り過去最高となった。400億円台の案件が2件あり、100億円台の案件も1件あったため総額が膨らんだ。
取引金額のトップはブリヂストンの428億円
取引金額のトップはブリヂストンが米国子会社を通じて、運送事業者向けに車両運行管理サービスを展開する現地のアズーガ・ホールディングス(カリフォルニア州)を買収すると発表した案件で、取得金額はアズーガの企業価値約428億円に運転資本などを調整して確定するという。
アズーガは、GPSトラッキング(衛星利用測位システムを用いた追跡)やドライバーの動作モニタリングなどの車両運行管理サービスを、6000を超える北米の運送事業者に提供している。ブリヂストンは同社を傘下に収め、車両運行管理サービスのグローバル展開を加速する。
金額の2番目は、楽天グループが通信ネットワーク用ソフトウエア企業の米アルティオスター・ネットワークス(マサチューセッツ州)の株式を追加取得し、完全子会社化すると発表した案件で、取得金額は約400億円。
楽天グループは傘下の楽天モバイルが展開する携帯電話事業にアルティオスターのソフトを利用している。アルティオスターを取り込み、携帯関連の海外事業を加速する。
金額の3番目は、テクノプロ・ホールディングスがソフトウエア開発のインドRobosoft Technologies Private Limited(カルナータカ州)の全株式を取得し子会社化することを決めた案件で、取得金額は約120億円。
Robosoft Technologiesは、インド国内に800人以上のエンジニアを抱えており、テクノプロは同社を傘下に収めることで、海外のソフト開発の中核的拠点を確保する。