KDDI総合研究所は9月8日、2030年を見据えた新たなライフスタイルを提案する調査・応用研究拠点「KDDI research atelier(リサーチアトリエ)」に、パートナーとの共同によるロボットの通信やプラットフォームに関連する技術の評価・実験を通し、ロボットを活用したサービスの創出を目的とした研究施設「ロボット工房」を開設したことを発表した。
「ロボット工房」では、「エンド・ツー・エンド・ネットワーク・スライシングによるロボット向け通信帯域が確保された評価ネットワーク」「低遅延映像伝送」「ネットワーク運用見回りロボット」など、同研究所の先端技術を使って実証が行える。
評価ネットワークは、同社とKDDI research atelierとパブリッククラウドの3拠点を接続し、ロボットに必要な制御機能(計算プロセス)を分散展開する環境を提供する。同ネットワークにおいて、5Gで実現が期待される通信リソース制御(オンデマンドでの通信帯域・遅延の保証)、MEC(Multi Access Edge Computing)を活用する低遅延通信を模擬して、将来のネットワーク環境を先取りした実証が可能。
低遅延映像伝送は、ロボットと操縦者間の映像伝送において、ロボット側のカメラから操縦者側のディスプレーに表示されるまでのエンド・ツー・エンドの遅延を縮小する技術。同技術は、視覚と身体感覚との操作のずれをほぼ解消でき、動きの速い対象物に対して正確な操作を実現するとともに、映像伝送の遅延が原因の一つとされる操縦者のVR酔いが軽減され長時間の遠隔操作を可能にする。
見回りロボットは、ネットワークセンター内の機器設定や交換、配線などの作業の立ち会いを代行する「立会い支援」、手動操作または自動でNCの設備状況などの確認を行う「遠隔操作・監視」、ロボットに搭載されたセンサーにより異常を検出するための定期的な「自動巡回」といった能力を備えている。
今後、同社はロボット製造や販売に携わる企業、ロボットユーザー企業などとともに研究開発を進めていく。