日清食品ホールディングスは9月7日、食品分野のAIとロボット開発に特化した技術を持つTechMagic社に出資、また同社と日清食品が調理ロボットを共同開発する契約を結んだことを発表した。

  • 日清食品ホールディングスとTechMagic(同社資料より)

    日清食品ホールディングスとTechMagic(同社資料より)

日清食品が研究する「完全栄養食メニュー」は、"見た目やおいしさはそのままに、カロリーや塩分、糖質、脂質などがコントロールされ、必要な栄養素を全て満たす食"をコンセプトに同社が開発を進める未来の食事メニュー。実現に向け同社社員83名を対象として試験を実施。体重、体脂肪率、BMI、血圧、中性脂肪などで改善が見られたことを「第27回 日本未病学会学術総会」(2020年10月)や「日本食品科学工学会 第68回大会」(2021年8月)において発表しており、5月からは伊藤忠商事で試験的に提供が行われている。

「日清食品の完全栄養食プロジェクト」(公式Webサイト)

「日清食品の完全栄養食プロジェクト」(公式Webサイト)

今回、日清食品とTechMagicはこの「完全栄養食メニュー」を提供するための調理ロボットを共同開発することを発表している。開発するのは種類や形状が違う様々な食材について、1食に含まれる栄養バランスを自動で整え、正確に盛り付ける機能を持った調理ロボット。初期の目標として「チンジャオロース」など不定形の食材を具材から判別、正確に必要量を盛り付ける技術開発を目指している。最終的には調理する場所や場面に応じて最適な品質、調理、盛り付け、提供まで自動化する「スマートキッチン」を実現すると共に、個人を対象に栄養状態や目標摂取数値データを機械にインプットすることで最適な栄養バランスのとれた食事を提供できる「食のパーソナライズサービス」も視野に入れている。

共同開発を行うTechMagicは2018年に創業、「テクノロジーによる持続可能な食インフラを創る」をテーマに食品業界に特化しAI技術とハードウェア技術を融合した調理ロボットを開発するベンチャー企業。厨房内における一連の調理工程を自動化するソリューションを設計、開発まで完結できる点が高く評価され、今回の共同開発へとつながった。