JR東日本グループは9月7日、同社で消費しているエネルギーの約8割が列車の運転エネルギーであることから、運転エネルギー削減を目指し、山手線で省エネ運転の研究に取り組んでいることを発表した。
現在、同グループ研究を進めている省エネ運転とは、駅間の所要時間を変えずに最高速度を抑え、運転エネルギーを削減した運転のこと。具体的には、加速時間を短くし、惰行の時間を長く、減速時間を短くする運転である。
山手線で省エネ運転を試行するために、乗務員が運転した走行データを分析し、その中から定時性と省エネを両立する運転曲線を抽出。その抽出した運転曲線を再現することにより運転エネルギーの削減を実現する。
山手線を運行しているE235系電車は、車両モニタリング機能を有しており、走行中のさまざまなデータを取得することができる。車両モニタリング機能を活用して取得した走行データから、駅間ごとに、消費電力量、所要時間、加減速操作のタイミングなどを分析する。
駅間ごとの分析結果から、省エネ効果と乗務員による再現のしやすさなどを考慮した加減速操作のタイミングを決定する。
省エネ運転を山手線の乗務員が試行した結果、約10%の運転エネルギー削減効果を確認できたという。これを、山手線1年間の運転に換算すると約 500 万 kWh(CO2 約 1,400 トン)の運転エネルギー削減が見込まれる。
首都圏の在来線全線区で省エネ運転に取り組み、同様の削減効果があると仮定すると、年間約 2.3 億 kWh(CO2 約 7.3 万トン)の運転エネルギーを削減することができる見込みとのことだ。
現在、走行データの分析は、手動でデータのダウンロードや変換作業を行っている。今後、これらの作業を自動化することで、分析結果を短時間でフィードバックする方法などのシステム開発を進め、乗務員がデータに基づいた省エネ運転に取り組みやすい環境を構築するとしている。