TrendForceによると、半導体需要の高まりは2021年第2四半期も高いままで、供給不足が継続。ファウンドリによる受託製造価格の値上げなどもあり、同四半期のファウンドリ市場は前四半期比6.2%増の244億ドルに達し、2019年第3四半期以降、8四半期連続で過去最高を更新したという。

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    2021年第2四半期のファウンドリ企業売上高ランキングトップ10(兼業のSamsungの売上高にはシステムLSI事業の売上高を含むので、実際のファウンドリ事業の売上高はもっと少ない。同じく兼業のPSMCの売上高はファウンドリ事業のみ。HuaHong Groupの売上高にはHHGraceとHLMC分を含む (出所:TrendForce)

停電の影響で市場シェアを低下させたTSMC

市場シェアトップのTSMCだが、売上高そのものは同3.1%増の133億ドルと伸ばしたものの、市場シェアは前四半期の54.5%から52.9%へと落とす結果となった。

ファウンドリ上位10社の前四半期比成長率平均は6.2%であることから、TSMCの成長率はその平均以下ということとなった。この要因はいくつかあり、中でも最も顕著なのは、4月に発生した台湾南部科学工業園区にあるFab 14 Phase7の停電であったとされる。この停電で、同社は40nmおよび16nmプロセスの一部のウェハを廃棄することとなった。また、同じ台湾南部科学工業園区では5月にも電力会社TaipowerのHsinta発電所が一時送電中止するという事態が発生。この際は、非常用発電機を介して、ただちに操業が再開されたため、ウェハの廃棄はなかったというが、特定ウェハの再加工が必要になったとされている。

市場シェア2位のSamsung Electronicsの同四半期の売り上げは同5.5%増の43.3億ドルとなった。同社は、2月に米国テキサス州を襲った寒波の影響に伴う停電でオースティン(Samsung Austin)のLine S2ファブが影響を受けたが、4月より製造を再開。再稼働までの1.5か月の損失を補うために、クライアントからの追加注文分を含め、最大限に工場を稼働させており、その結果、売上高は業界平均よりもわずかに低い程度の伸びにとどめることができたという。

市場シェア3位のUMCの同四半期の売上高は同8.5%増の18.2億ドルで、稼働率は100%を超えてフル稼働を続けるという状況であったというが、その生産数量は顧客の需要に追いつかない状況であったという。また、同社は、平均販売価格が比較的高い28/22nmプロセスの製造ラインの増強を進めており、それが奏功して同四半期の平均販売価格は前四半期比で5%増加したという。

市場シェア4位のGlobalFoundries(GF)の売上高は同17%増の15.2億ドルとなった。2019年に米国Fab10(旧IBMのイーストフィッシュキル工場の一部)と、シンガポールのFab3Eを売却し、製造プロセスを14/12nm FinFET、22/12nm FD-SOI、55/40nm高耐圧およびBCDプロセスに集約する一方で、米国とシンガポールに新規ファブの建設を決定。Fab10についても、2022年の引き渡し完了まではGFが使える状況のようで、世界的な半導体不足への対応として活用していくものとみられる。

市場シェア5位のSMICの同四半期の売上高は同21.8%増の13.4億ドルとトップ10中最高の伸びを見せた。半導体需要の高止まりと平均販売価格の上昇により、売上高を増加させたという。また、現在も新規顧客による14nmプロセス製品の製造委託が予想を上回る状況であり、1万5000枚/月の生産能力をフル稼働させているという。

第3四半期も市場の好調は継続か?

20219年下半期より始まった半導体の需給不均衡は、現在も継続しており、これまで以上に深刻化しつつあるようにも見受けられる。また、一部、新たに生産能力を増強しても、すでにクライアントからの予約で埋まっており、フル稼働を続けても、市場の需要に追いつけない状況にある。さらに、世界中の政府などからの要請もあり、自動車用半導体の生産量は増えたが、その結果として、ほかの産業分野の生産量が減る結果となっており、結果としてファウンドリ各社は利益の最適化に向け、製品構成の最適化に向けた調整を続ける状況となっている。そのため、TrendForceでは、2021年第3四半期のファウンドリ市場も過去最高を更新するものと予測している。