ルネサス エレクトロニクスは8月31日、イギリスのアナログ半導体会社Dialog Semiconductor(ダイアログセミコンダクター)の発行済普通株式および発行予定普通株式を約6240億円ですべて取得したこと、ならびにルネサスとDialogの製品群を組み合わせた39種類の「ウィニング・コンビネーション」(ウイニングコンボ)を発表した。
今回の買収完了に伴いDialogはルネサスの完全子会社となり、約2300人のDialogの従業員がルネサスグループに加わった。
ルネサスはインターシルとIDTの買収に続いてDialogの買収を完了したことで、Dialogの低電力のミクスドシグナル製品、低電力のWi-FiおよびBluetoothコネクティビティ技術、フラッシュメモリ、バッテリー・パワーマネジメントに加え、長い実績と豊富な知見を持つコンフィギュラブル・ミクスドシグナル(CMIC)などで製品ポートフォリオを拡充し、市場でのプレゼンスを高めていきたいとしている。
発表されたウィニングコンボには、IoTシステムの試作を容易化する開発プラットフォーム「クイックコネクトIoT」用にDialogの低電力Bluetooth Low Energy(LE)(DA14531)モジュールとWi-Fi(DA16200)モジュールをそれぞれ搭載した「Pmod タイプ6A規格のボードおよびソフトウェア」や、産業向けにDialogのゼロ電圧スイッチングを搭載した最新の高電力密度AC/DCチップセットを用いた「USB PDおよびワイヤレス給電対応の100Wアダプタ」のリファレンスデザイン、DialogのBluetooth LE 5.1対応の低消費電力SoC(DA14531)とルネサスの湿度・温度センサを組み合わせた環境データをモニタおよび追跡するためのクレジットカードサイズの追跡ソリューション「スマート・トラッキング・ラベル」などが含まれている。
車載向けのウイニングコンボも9種類発表されており、DialogのPMICおよびCMICとルネサスの車載用R-Car SoCや降圧レギュレータ、タイミングICを組み合わせたIVI(In-Vehicle Infotainment)向けソリューション、DialogのLEDバックライトやハプティクスドライバとルネサスのLCD用PMICを組み合わせたディスプレイ用途となる表示システム、バッテリマネジメントシステム(BMS)向けとなるDialogのBluetooth LEとルネサスのバッテリマネジメントICやマイコンを組み合わせた無線によるBMSソリューションなどが含まれている。
なおルネサスは、クロスセルやウィニングコンボの提供により、約210億円の売上増を見込んでおり、同社のEBITDA(Earnings Before Interest Taxes, Depreciation and Amortization)、売上高総利益率および営業利益率(いずれもNon-GAAPベース)も同買収完了後に増加するとしている。