TrendForceによると、2021年第2四半期のNAND市場は、前四半期比10.8%増の1641億9500万ドルとなったという。

同四半期、データセンター分野からのエンタープライズSSDの調達が進んだことに加え、IntelならびにAMDの新サーバプラットフォームの登場により、4/8TB品の採用率も上昇したことが背景の1つにあるという。また、東南アジアを襲った新型コロナの影響により、スマートフォン(スマホ)の売り上げは落ち込んだものの、ノートPCの需要が堅調であり、NANDのビット出荷数量も同約9%増となったという。ただし、SSDコントローラICの販売価格は不足傾向から同7%増と上昇したという。

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    2021年第2四半期のNANDメモリサプライヤ売上高ランキング (出所:IC Insights、2021年8月)

2021年第3四半期は、データセンター分野での高容量エンタープライズSSDのさらなる調達量拡大が期待されるほか、ノートPCも引き続き堅調な需要が見込まれるため、ビット出荷数量の増加とともに、NAND製品の契約価格も上昇を維持する見込みで、TrendForceでは、第3四半期のNAND市場は過去最高額を更新する可能性があるとしている。

各社の動向

NANDトップのSamsung Electronicsの2021年第2四半期業績は、売上高はコントローラIC不足の問題もあり、平均販売価格が前四半期比約5%増となったこともあり、同12.5%増の55億9000万ドルをたっせい。ビット出荷数量も、データセンターやPCからの需要の高まりを受け、同約8%増となったという。

Samsungと同じ韓国勢であるSK Hynixの同四半期におけるNAND売上高は、ハイパースケーラーの需要の高まりとノートPC需要の高まりを受けたほか、平均販売価格の上昇も同約8%あり、同10.8%増の20億2480万ドルとなった。ビット出荷数量も同3%増となったという。

NAND業界2位のキオクシアの同四半期業績は、ノートPC需要とエンタープライズからの需要増などを背景に、平均販売価格の同10%上の上昇を果たし、売上高も同8.5%増の30億1100万ドルをたっせい。ビット出荷数量も同約7%増を記録したという。ただし、台湾子会社Solid State Storage Technology(SSSTC、旧ライトンのSSD事業)の業績の低下と為替レートの影響を受けたこともあり、競合他社に比べて売り上げの伸び率は低いものとなった。

キオクシアのパートナーであるWestern Digital(WDC)の同四半期業績は、エンタープライズSSD需要の高まりに対応しつつ、第2世代NVMeエンタープライズSSDの出荷を開始したことで、エンタープライズ分野のみで見ると前四半期比39%増と急伸し、この影響から全体の売り上げも同11.2%増の24億1900万ドルとなったという。

WDCと同じく米国勢のMicron TechnologyのNAND売上高は、データセンターおよびノートPCからの需要の高まりを受けたこと、ならびに平均販売価格も同3%増と上昇したことから、同9.8%増の18億1200万ドルとなった。

かつてMicronのパートナーであったIntelだが、同四半期のビット出荷数量をコントローラICやPMICの不足などを背景に同10%ほど減少させる結果となり、平均販売価格を同約9%ほど上昇させたにも関わらず、売上高も同0.8%減の10億9800万ドルとしている。