インテックと慶應義塾大学SFC研究所は8月25日、オンライン診療と電力アグリゲーションの分野における「Personal Generated Dataサービス(PGDサービス)」の社会実装を目指した共同研究を開始したと発表した。
同サービスは、空調機器や照明機器などから取得する生活行動データや、購買情報など個人が行動することで生まれる多種多様なデータ「Personal Generated Data」を活用するものだという。専用のシステムではなく、汎用的な機器やサービスから取得する情報を利用することで、ユーザー自身の意志でデータをコントロールできるサービスモデルの設計を目指す。
新型コロナウイルス感染症の流行下において、オンライン診療利用率が低迷し、電力アグリゲーションの需要が拡大するなど、社会の重要インフラである医療と電力が転換期を迎えているという。そこで両者は、この2つの領域においてPGDを活用したサービスの実証実験を開始するとのことだ。
両者は2020年5月に、ICTを活用した地域課題の解決を目指して、地域ICTプラットフォーム・ラボラトリを開設している。今回の共同研究は同ラボラトリの取り組みの一つであり、同ラボラトリが設置した慶應藤沢イノベーションビレッジ(SFC-IV)内で実施される。
研究は、SFC-IVの一室にネットワークにつながったIoT家具などを配置した、スマートホームで行う。各家電はインテックが開発した家電手帳アプリから、操作およびモニタリングが可能であり、これらの家電から取得するPGDの利活用に向けた研究を共同で実施する。
将来的な展望として、オンライン診療の分野では、家電の利用状況から取得するPGDをかかりつけ医と連携して、診療や問診などでの活用が考えられるという。具体的には、一定の室温以上の際のトイレの利用情報などから、エアコンの適切な温度設定や水分補給を促すなど、個人の行動に基づいた診療につなげるとしている。
また、電力アグリゲーション分野では、電力需要が高まるタイミングを通知して運転モード設定を変更するなどの目的でPGDを活用を想定している。個人が家庭で使用する電力の大部分が家電の利用によるものであることから、電力使用のピークをずらすことで電力需要の抑制や平準化を目指すとのことだ。