調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)は8月26日、AI関連の主要8市場である、画像認識、音声認識、音声合成、テキスト・マイニング/ナレッジ活用、翻訳、検索・探索、時系列データ分析、機械学習プラットフォームの市場規模推移および予測を発表した。

これによると、2020年度のAI主要8市場全体の売上金額は513億3000万円、前年度比19.9%増と大きな伸びをみせたことが分かった。コロナ禍で新規案件の獲得に苦戦するベンダーが散見された一方、在宅勤務での業務効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みを推進する企業でAIの活用が拡大したことで、躍進したベンダーも多く見られたという。

  • AI主要8市場規模推移および予測:分野別(2019~2025年度)出典:ITR

そのなかでも売上金額を最も伸ばしたのは機械学習プラットフォーム市場で、前年度比44.0%増。参入ベンダーの増加とともに、低価格化も進んでいることから、今後も導入が拡大すると同社は見込む。

同市場に次いで高い伸びを示したのは翻訳市場で、同38.0%増と、コロナ禍で海外とのやり取りの書面活用が増加したことなどを背景に、製造業を中心とした大企業での全社導入が増えたことが要因となっているという。

また、翻訳の製品・サービスの精度の向上に伴い、これまで外部に委託していた翻訳業務の内製化の動きが見られることから、今後も継続的な伸びを見せると同社は予測。

同社は、同レポートのAI主要8市場の動きから、今後もさらなる拡大が見込まれるとし、AI主要8市場のCAGR(2020~2025年度)は18.7%、2025年度には1200億円に達すると予測している。

ITRのシニア・アナリストである舘野真人氏は、「AI環境の自作を支援する機械学習プラットフォームや日常のコミュニケーションを効率化する翻訳などの市場の拡大は、AI技術が一部の技術者だけでなく、ビジネスユーザーのための道具として足場を固めていることを物語っている」とコメントしている。