台湾のファウンドリが再び製造受託価格の値上げを計画していると台湾メディアが伝えている。それによると、TSMCは2021年第4四半期に10~20%の値上げを予定しているとするほか、UMCも11月に再び同様の値上げを顧客に対して予告したという。

ファウンドリが製造受託価格を引き上げる背景

TSMCの値上げについては、第4四半期以降、10nm未満の先端プロセスを10%値上げするほか、供給不足に陥っている12nm以上の成熟プロセスについては20%の値上げを行うという。これにより、粗利益率50%が維持される見通しだという。ただし、TSMCは、従来通り価格動向については一切コメントしないとしている。

台湾業界関係者によると、UMCおよびほかの台湾ファウンドリの製造受託価格は、度重なる値上げでTSMCの価格を上回っている場合もあるという。TSMCの最先端プロセスへの投資は莫大であり、投資回収期間も長引く傾向にあるため、業績維持のために全面的な価格引き上げに踏み切らざるを得なくなったと関係者は見ている。

一方のUMCも、11月に平均で10%、一部のプロセスでは最大15%の値上げに踏み切るという。同社は2021年に入って、年初、4月、7月と相次ぐ値上げを行っており、もし11月にも値上げするのが事実なら2021年の累計値上げ幅は50%を上回るものとみられる。

同社の関係者によると、値上げ幅は一部のドライバIC顧客向けで10~15%、民生用IC顧客向けが5~10%、高電圧プロセスではそれ以上の値上げとなる見通しだという。同社は200mm、300mmの製造ラインともにフル稼働状態となっているが、特にレガシープロセスで深刻な供給不足状態にあるという。

こうした状況のため、UMCの生産能力の拡張が従来目標を上回る規模で進むとの観測も出ており、ファブ12AのP5(第5製造棟)とP6を、従来目標から最大18%引き上げる可能性があるという。

業界関係者の中からは、ファウンドリの需給逼迫について、市場の予測より深刻な状態にあるとの指摘も出ている。

なお、UMCの関係者によると、UMCの値上げは、売上高および利益を計画通りに引き上げることを意図したものだという。同社の第3四半期(7~9月)の売上高は前四半期比7~8%増となり、四半期ベースで過去最高を更新する可能性があるという。