NTTデータ経営研究所は8月24日、「多様な民間サービスでの活用促進に向けたマイナンバーカード意識調査」の結果を公表した。同調査は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが提供するNTTコム リサーチの登録者を対象にしたもので、国内に住む20代から60代の一般市民1000人以上が回答した。
マイナンバーカード(個人番号カード)は公的な身分証明書だけではなく、国民の利便性向上を目的として導入された社会インフラの一つである。デンマークやエストニアでは、同様の仕組みである国民IDカードの普及率が80%を超えるのに対して、日本での普及率は約34%にとどまる。
2021年9月に発足が予定されているデジタル庁の取り組みの一つとして、マイナンバーカードを活用したサービスの拡充を検討しており、国民の需要を把握することは重要だと考えられる。こうした背景を受けて同社は、調査の実施に至ったとのことだ。
調査の結果からマイナンバーカードの取得率として、取得者(申請中も含む)が54.3%と最も多いことが明らかになった。次いで、取得意向がない未取得者が32.3%、取得意向がある取得予定者が13.3%だったという。
20代に着目すると未取得者が最も多く、未取得の理由として30.9%が「特に理由はない」と回答している。一方で、20代の取得理由(取得予定者も含む)として「利用したいサービスがあったから」と回答した人の割合が、他の年代と比べて最も高かったとのことだ。この結果から、マイナンバーカードの取得促進のためには若い世代の興味を引くサービスの開拓が有効であるとしている。
現在のマイナンバーカードで利用できるサービスの利用意向について、公共および民間サービスについて質問したところ、「特にない」の回答がそれぞれ46.3%、71.5%と最も多かった。この結果は国民の需要を満たす既存サービスが少ないことを示している。
また、新規のサービスについての質問では、住民票や戸籍謄本の取得などライフイベントに関わる公共サービスと、PCR検査陰性証明書などの新型コロナウイルス感染症に関わるサービスの利用意向が、ほかの新規サービスの利用意向の平均値を上回っていたという。一方で教育関連サービスや娯楽関連のサービス、食事や運動に関する日常生活関連のサービスの利用意向は、全体の平均値よりも低かったとのことだ。
さらに、マイナンバーカードを活用した新規サービスを利用してみたいが、申請を望まないと回答した人が全体の約7割を占めている。この層は、少なくともサービスには関心を持っていると考えられることから、同社は今後のニーズ調査の重点的なターゲットになり得ると結論付けている。