富士通は8月20日、DX(デジタルトランスフォーメーション)の世界的な動向把握を目的に実施した調査の結果を、「Fujitsu Future Insights グローバル・デジタルトランスフォーメーション調査レポート 2021」として公開した。同調査は日本を含む世界9カ国の経営層や意思決定者1200人を対象にしたものである。

5回目の報告となる今回は、企業がどのように新型コロナウイルスがもたらしたパンデミックに対応したのかに焦点があてられた。ビジネスのデジタル化が加速する中において、企業のDX推進力とパンデミックへの対応から、企業ごとの成果の違いを検討したという。

  • パンデミック後の経営優先課題として、変化への対応力が挙げられた

調査の結果から、商品およびサービスを完全にオンラインでのみ提供する企業(ネット専業企業)の多くが売上を伸ばす一方で、オフラインあるいは一部をオンラインで提供する企業(非ネット専業企業)では半数の売上が減少していたことが明らかになった。

しかし、非ネット専業企業の78%は大きな影響を受けながらも、パンデミックに効果的に対応できたと回答している。また、効果的な対応を可能にした大きな要因としては、アジリティ、デジタル化、従業員のウェルビーイングの3点が挙げられたとのことだ。

過去に同社が実施したグローバル調査の結果では、DXを成功に導く重要な要素として、リーダーシップ、データからの価値創出、アジャイルな文化、エコシステム、人材のエンパワーメント、ビジネスとの融合を示しているという。

同社はこれらの要素を「デジタルマッスル」と呼んでいる。今回の調査により、デジタルマッスルのスコアが高い企業ほど、パンデミックがもたらしたビジネス環境の変化に対して、より効果的に対応ができていることが明らかになった。

また、パンデミック後の新しい世界における経営の優先課題としては、変化への対応力がトップに挙げられている。不確実な世界において、多くの企業が変化への柔軟な対応の重要性を認識していることがうかがえる。次いで、ビジネスプロセスの自動化やデータ駆動経営が挙げられた。

さらに、非ネット専業企業の44%は2025年までに、現在自動化されていないプロセスの50%以上が自動化されると見込んでいるという。加えて、対面での体験がもたらすプレミアムな価値の創造も見直されているとのことだ。