米Facebookは8月19日(現地時間)、VR(仮想現実)を活用した仮想会議室/オフィス「Horizon Workrooms」を発表、ベータ提供を開始した。参加者はVRヘッドセット「Oculus Quest 2」を通じて、CGで作成されたアバターで参加。AR(現実拡張)機能も組み合わせて、直接対面しているような感覚でコミュニケーションや共同作業を行える。2021年4〜6月期決算の説明会において、同社CEOのMark Zuckerberg氏が「今後数年のうちに、当社はソーシャルメディアを主とする企業からメタバースの企業と見なされるようになるでしょう」と述べたのが大きな話題になった。Workroomsはメタバースへのシフトにおいて重要な役割を担う。
コロナ禍で働き方が変わり、ポスト・コロナにおいてもテレワークを組み合わせた柔軟な働き方の導入を計画している企業は多い。しかしながら、オフィスワークに比べて、テレワークでは孤独を感じたり、チームでのブレインストーミングのような作業で同じ成果を得にくい。
画面越しになるWeb会議と異なり、Workroomsでは仮想ルームにアバターが集まるので同じ空間を共有している感覚になる。仮想ルームに入ると、空間オーディオ機能によって各参加者がいる位置から会話の音声が聞こえてくるので、会議室に集まって対面で話すように自然に会話できるという。ハンドトラッキングに対応しており、Workroomsでは手の動きによる操作が優先される。手はアバターと一体感のある操作方法であり、身ぶり手ぶりによる表現も行える。
一方で、パソコンを仮想ルームに持ち込めるMR(Mixed Reality:複合現実)機能も用意する。「Oculus Remote Desktop」を利用して、WindowsまたはMacをWorkroomsと連動させ、オフィスワークの会議と同じように机上にパソコンを広げられる。パソコンを使ってミーティングのメモをとったり、VR環境からパソコン内のファイルにアクセス、画面共有といったことが可能になる。ただし、しばらくはWorkrooms内でサポートされるキーボードは「Apple Magic Keyboard」「Logitech K830」、「MacBook Pro 13”」(2016-2020)、「MacBook Pro 15”」「MacBook Pro 16”」に限られる。
全てのルームにホワイトボードが用意され、他の参加者と共にホワイトボードの前に立ったり、コントローラを使ってペンのように書き込むといったVR環境ならではの使い方が可能。
仮想ルームは会議やプレゼンテーション、コラボレーション、交流など用途に応じて部屋の大きさや席のレイアウトをカスタマイズできる。また、VRヘッドセットを使えない時でも、Webを通じて音声やビデオ通話で参加できる。VRヘッドセットを通じて同じ仮想ルームに入れるのは最大16人、ビデオ会議システム経由の参加も含めると最大50人まで参加できる。なお、19日時点のベータ版ではハンドトラッキングや空間オーディオを利用できるが、アバター、パススルー、MRによるデスク/キーボード機能などは今後のアップデートで追加される予定。